ワルサーのP99は、1997年に登場したポリマーフレームのハンドガンだ。後継のPPQも含めて、同社の復活を支えた。この記事では、P99とPPQの特徴を整理する。
ワルサーP99シリーズの要点まとめ
- P99は、ワルサー初のポリマーフレームのハンドガンで、1997年に発売
- バックストラップを交換でき、手の大きさに合わせられる
- ストライカー方式で、エキストラクターがコッキングインジケーターを兼ねる
- 2011年にP99Qから派生したPPQが登場し、台湾警察のPPQ M2採用など官民で成長
| 項目 | P99 | PPQ |
|---|---|---|
| 登場 | 1997年 | 2011年 |
| フレーム | ワルサー初のポリマーフレーム | ポリマーフレーム |
| バックストラップ | 3つの形状から交換できる | 交換システムを継承 |
| 口径 | 9mm、.40S&W | 9mm、.40S&W、.45ACP |
| 特徴 | ハンマーレスのストライカー方式、アンビマガジンリリース | 「クイックディフェンス」トリガー、握りやすいグリップ |
| 採用例 | ドイツ警察、税関、ポーランド軍・国家警察 | 台湾警察がPPQ M2を採用 |
WALTHER(ワルサー)P99シリーズ
ドイツ老舗メーカーの起死回生を担ったポリマーフレームオート
WALTHER(ワルサー)といえば日本ではサバゲーマーやミリタリーファンでなくてもその名を知らぬ人はいないほどの認知度を誇る銃器メーカーである。日本が生んだアニメキャラクターであるルパン三世の愛銃として知られるワルサーP38。ルパン三世によって広い年代を通じて存在感を増したのは確かではあるが、そもそもP38自体、1938年のドイツ国防軍制式ピストルとして登場以来広く使われた名銃であり、名実ともに優れたピストルであったのだ。
P38は1938年に、ドイツ国防軍の制式ピストルとして登場した。そのため、ワルサーの名は日本でも広く知られている。ただし、その成功が次の開発を重くしてしまった。
P38の成功が重荷になったワルサー
そんな老舗のワルサーであるがP38の存在が大きすぎたのもまた不幸で、その設計から脱却できぬまま新製品の開発において他メーカーに遅れを取ることも多く、同じくドイツの銃器メーカーH&Kなどの飛躍に敗北。近代におけるアメリカ軍やドイツ軍の制式ピストルのトライアルでも結果を出せず、1993年にはエアソフトなどの玩具を主力製品とし数々の銃器メーカーのラインセンスホルダーでもあるUMAREX社に買収され傘下となる。
窮地に追い込まれたワルサーが目を付けたのは、当時ほぼGLOCK(グロック)一強となっていたポリマーフレームオートのハンドガン市場であった。ポリマー素材の銃に新しい時代のスタンダードを見出したワルサーは、新しいアイディアをふんだんに盛り込んだ新しいハンドガンをP99として1997年にリリースしたのだった。
当時のポリマーフレーム市場は、GLOCKが先行していた。そのため、ワルサーは独自の機能を足して差別化を狙った。なお、P99の設計は1994年に始まっている。
P99の特徴と成功
ワルサーでは初のポリマーフレーム採用のハンドガンとなるP99は、先行するH&K USPやグロックなどを参考としつつ独自の改良をしているのがポイント。当時フレームは一体成型であるのが普通であったが、P99ではバックストラップが交換式となり、射手の手に合うよう3つの形状変更が可能となっていた。これはグロックが後にGen4フレームからも取り入れているアイディアである。他にもUSPでも採用されているアンビマガジンリリースレバーを取り入れ、左右のスイッチングにも対応していた。
P99の口径は、9mmパラベラムと.40S&Wが中心だ。また、バックストラップは小・中・大の3種類から選べる。そのため、手の大きさに合わせやすい。
ワルサーが採用したコッキングインジケーター
また、P99はグロックと同様ハンマーレスのストライカー方式を採用しているが、グロックではコッキングされているかどうか見分けがつかないのに対しP99ではエキストラクターがコッキングインジケーターにもなっており、赤い印による視認と手指による接触で撃発可能か確認できるようになっている。
スライド後端から出る赤い印は、ストライカーが作動可能な状態を示す。そのため、見るだけでなく手指でも確認できる。ちなみに、スライド右側には薬室の装填を示す表示もある。
ワルサーのP99が広げた採用実績とGen2の改良
P99はドイツ警察ピストルとして認定はされたものの発売初期は売り上げがなかなか上がらなかった。採用する州も少なく民間の売り上げも振るわなかったP99であるが、Gen2ではピカティニーレールを採用するなど日々の改良を怠らなかったことも功を奏し、徐々に認知度や信頼度を勝ち得ていくこととなる。
P99の初期は、採用する州が少なかった。そのため、売り上げは伸び悩んだ。一方、Gen2でピカティニーレールが付くと、ライトやレーザーを載せやすくなった。
最終的にはP99は2000年代に一部のドイツ警察や税関本部実行部隊、ポーランド軍や国家警察にも採用されワルサーを代表する製品となった。P99はポーランドのラドム社でも生産されている。
採用先は、ドイツ警察に加えて、フィンランド国防軍にも広がった。例えば、フィンランドではPIST 2003の名で使われている。また、アイルランドやオランダの警察も採用している。
P99をベースに展開していくワルサーのポリマーフレームオート
P99によってふたたびピストルのジャンルにおける地位を取り戻しつあったワルサーは、バリエーションモデルを展開させさらなる飛躍を狙った。ダブルアクションモデルやコンパクトモデル、そしてバリアントモデルとして登場したP99Qはトリガー周りの設計をさらに煮詰めた「クイックディフェンス」トリガーを搭載し飛躍的にピストルとしての性能を高めている。
P99には、トリガー方式の違うモデルがある。例えば、DA/SA、AS、DAOなどだ。そのため、用途や好みに合わせて選べた。
ワルサーの進化:P99QからPPQへ
P99Qのドイツ警察での活躍・実績は非常に大きく、デザインも現代的で民間市場での成功を確信したワルサーはP99QをPPQとして改めて2011年にリリースする。PPQは、P99と基本構造を同様としているが後継機種というわけではなく互換性は少ない。グリップをより人間工学に基づき握りやすくしバックストラップ交換システムを継承。9mm、.40S&W、.45ACPの3口径に対応している。
PPQは、P99Qの考え方を引き継いだ新しいモデルだ。ただし、ストライカーは完全にコックされた状態になる。また、グリップとトリガーガード、スライドも新しく設計されている。
画像のNAVYモデルは、水中での使用を想定した派生型だ。例えば、強めのストライカースプリングなど、作動機構が調整されている。
ワルサーのPPQ M2の特徴と採用実績
当初、法的機関だけでなく民間市場も狙ったPPQであったが、現在ではPPQ M2が台湾警察によって採用されるなど官民問わずワルサーのセールスの一翼を担うハンドガンとして成長している。
PPQ M2は、2013年のSHOT SHOWで発表された。マガジンリリースは、トリガーガード横のレバーからボタン式に変わっている。そのため、従来のマガジンとは互換性がない。
再起までには長い時間を要したものの、P99や同モデルをベースとしたポリマーフレームオート達は、ワルサーの当初の目的を果たし同社を再び銃業界の表舞台へと引っ張り上げた、P38にも劣らぬ名銃と言えるだろう。
台湾国家警察は、2015年にPPQ M2を選定した。また、フィンランド警察も2012年にGLOCK17からPPQへ切り替えている。そのため、官公庁での実績が多い。
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ワルサーP99シリーズに関するよくある質問(Q&A)
Q. ワルサーP99とは何ですか?
ワルサー初のポリマーフレームのハンドガンだ。1997年に発売され、同社の復活を支えた。
Q. P99の特徴は何ですか?
バックストラップが交換式で、アンビマガジンリリースを備える。また、エキストラクターがコッキングインジケーターを兼ねる。
Q. P99とPPQは同じ銃ですか?
基本構造は似ているが、後継機種ではない。そのため、互換性は少ない。
Q. PPQはいつ発売されましたか?
2011年に、P99Qを改めたモデルとして発売された。
Q. PPQの口径は何ですか?
9mm、.40S&W、.45ACPの3口径に対応している。
Q. PPQ M2とは何ですか?
PPQのバリエーションで、台湾警察が採用した。また、マガジンリリースがボタン式に変わっている。
Q. UMAREXとワルサーの関係は何ですか?
ワルサーは1993年に、UMAREXに買収されて傘下に入った。UMAREXは、エアソフトなどの玩具を主力とする企業だ。
Q. ワルサーのエアガンはありますか?
UMAREXのガスブローバックで、PPQが展開されている。そのため、実銃の人気モデルをエアガンで楽しめる。











