ライフルなのに「 ピストルグリップ 」これ如何に

ライフルなのに「 ピストルグリップ 」これ如何に
ライフルなのに「 ピストルグリップ 」これ如何に
 

「これ、 ピストルグリップ と書いてあるからハンドガンのパーツですよね?」「違うよ!(笑)」

先日、当店オルガエアソフトに商品が入荷したとき、仕分け担当者からこんな事を言われてハッとしました。AR15用の実物グリップが入荷したのですが、パッケージに ピストルグリップ と書いてあるのでハンドガン用のグリップと思ってしまったようです。

日頃から記事を書いている筆者からすれば、何の違和感もなく「 ピストルグリップ 」=「ライフル用のグリップ」と連想できるのですが、言われてみれば確かに、何故ライフルパーツなのに ピストルグリップ と呼ぶのでしょうか。気になって調べてみたらなんと、私も ピストルグリップ の概念を理解していなかったことが判明しました!

そこで今回は、ライフルにおける ピストルグリップ の起源と定義について解説していきたいと思います。

ピストルグリップ

 

筆者の勘違い

まず、筆者が勘違いしていたポイントから説明したいと思います。私は当サイトの解説記事やプロモーション記事だけでなく、ORGA AIRSOFT WEBショップの商品ページも制作しています。そのため、AR15のような近代~現代小銃のグリップが一般的に「 ピストルグリップ 」と呼称されていることは知っていました。

私はこう考えていました。ライフルの歴史を辿っていくと、元々はストックの一部であったグリップが小銃の進化と共にそれぞれパーツとして独立。ストックとグリップが単体パーツに分かれたものの、単にグリップと呼んではフォアグリップと混同してしまうため、ライフル本体側のメイングリップには別の呼称を付けよう。そこで、ピストルの様に角度の立った独立グリップを ピストルグリップ と呼ぶようになったのだと。

しかしこれは、大きな間違いでした。

冒頭のスタッフとのやりとりがあったあと、ちゃんと調べたことなかったなぁと思って調べてみたところ驚愕の事実が!それは、M1ガーランドやM14のような「ストック一体型のグリップも ピストルグリップ と呼ぶ」というものでした。これは一体どういうことなのか!

フォアグリップとピストルグリップ

 

ピストルグリップ の起源

「 ピストルグリップ とは何なのか」について説明するとき、重要になってくるのはライフルの歴史です。筆者の勘違いは、このライフルの歴史の辿り方が浅かったことに端を発します。私はせいぜい20初期~中盤程度の近代ライフルしか想定していなかったのですが、グリップについて語るにはもっと以前の火縄銃・マスケット銃の時代まで遡ります。

ストック=銃床を備えた銃器が登場したのは16世紀頃と言われており、それが現代に通ずるライフルの原型となりました。銃床と書いていますが、ここではストック=フレームをイメージして頂けると想像しやすいかと思います。

当時のストックは現代ではストレートストックと呼ばれ、グリップと言えるような部分は親指を乗せる申し訳程度のくぼみのみ。そもそも「グリップ」にあたる名称が当時から使われていたかどうか怪しいですが、このライフル黎明期のグリップは現代ではストレートグリップと呼ばれます。

銃器にとって非常に画期的なストックが登場したものの、構えにくいストレートグリップの時代は非常に長く続きます。銃の進化はしばらく、火薬や弾の装填・確実な着火方法など基本性能を高める部分に集中し、狙いやすさ以前の「ちゃんと発射できるか」という問題を解決することが先でした。

ストレートグリップ

ストレートグリップは握りやすさを考慮しているとは言えず、安定した射撃を実現する「肩へのストックの引き付け」には不向きな形状です。ストックの発明によって飛躍的に狙いを付けやすくなったライフルでしたが、その機能を最大限に活かすにはストックを身体に引き寄せ肩で安定させることが必須。それには握りやすい手の角度を考慮したグリップ造形が必要となってきます。

グリップがしっかりと造形されたライフルが多く見られるようになったのは20世紀初頭から。それまでシンプルだったストック形状を見直し、グリップ部分を拳銃の様に湾曲させて握りやすくしたものが登場し始めます。それこそが「 ピストルグリップ 」なのです。ストックとグリップが別パーツとなるより以前から、 ピストルグリップ は存在していたんですね。

ここで冒頭のスタッフの間違いも訂正しておきますが、 ピストルグリップ とはあくまで「ピストルのように握れるライフル用グリップ」のことであり、ストックがない拳銃のグリップのことをわざわざ ピストルグリップ とは呼びません。

M1ガーランド
※M1ガーランドは例として挙げただけで、世界初のピストルグリップ搭載銃ではありません。

 

ピストルグリップ の定義

前述の通り、 ピストルグリップ は元々ストックと一体型のものでした。ストックを握りやすように成型しているので、ストレートグリップとは表現を分けるため ピストルグリップ と呼称している、というのが正しい表現ですかね?

ピストルグリップ はその角度の付け方によって1/4、1/2(ハーフ)、フルと種類分けされたり、ストック(フレーム)の形も様々なものが誕生しそれぞれ名称がつけられていますが、ここでは割愛します。

そして第一次世界大戦以降になると、現代では一般的な独立式の ピストルグリップ が登場し始めます。皆さんがよく目にするAR15のグリップも独立式です。私が「これこそが ピストルグリップ だ」と勘違いしていたヤツですね。

M16
※M16は例として挙げただけで、世界初の独立式ピストルグリップ搭載銃ではありません。

 
近代以降のライフル、特に自動小銃はそれまでのライフルとは仕組みが大きく異なり構造も複雑です。それまでフレーム構造の根幹を担っていたストックは特に肩付けするためのパーツとして後方に縮小し、新しい発射機構を内包するフレームは別体の「レシーバー」になります。中にはこの構造になってもストックとグリップが一体型のライフルもありますが、メンテナンス性を考えるとグリップは独立している方が良いと考えられた設計が広く浸透しました。

しかしここまでデザインが変わっても、やはり ピストルグリップ の呼称はそのままなのです。敢えて言うなら、正式名称は「ピストルグリップ」ですが「グリップ」と略してしまっているのが今現在です。

中には筆者とは逆に「 ピストルグリップ はストックと一体型のもののみを差す」と勘違いしてしまうパターンもあるようですね。しかし、AR15/M16の様な独立グリップもれっきとした ピストルグリップ カテゴリの一種となります。

ピストルグリップ の定義はあくまで「ピストルのグリップの様に角度が付けられたライフルグリップ」であり、ストック一体型なのか別パーツであるのかは関係ありません。アメリカの銃規制法では ピストルグリップ は「独立型ピストルグリップ」または「フルピストルグリップ(ストック一体型)」を差す言葉であるとされています。

 
今回は商品名のちょっとした疑問から記事を書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?日本は銃社会ではないうえ外国語のニュアンスも理解が難しいが故に、エアソフトガンに関連するキーワードであっても曖昧だったり勘違いしたままの知識が少なからずあります。

ご自身で常識と思っていることでも、もしエビデンスが弱いなーと感じた事象であれば調べてみると面白いですよ!

 
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