サイレンサー / サプレッサー 正しい呼び方はどっち?

サイレンサー / サプレッサー 正しい呼び方はどっち?
サイレンサー / サプレッサー 正しい呼び方はどっち?
 

サイレンサー / サプレッサー 呼称が2つあるのは何故?名前の由来や存在意義、エアガンパーツとしても有効な理由について

銃のマズルに取り付けて銃声や発射炎を抑制するガン・アクセサリー「 サイレンサー / サプレッサー 」。サバゲープレイヤー・シューティングプレイヤーのみならず、ミリタリーやガンアクション系の映画やドラマ、アニメなどが好きなら、その存在を知らない人はほとんどいないだろう。

サイレンサー サプレッサー

サスペンスやクライムムービーでは、殺し屋やスパイがおもむろに銃に取り付け「プシュッ」と静かに暗殺するようなイメージが強い。しかし実際のところ、 サイレンサー / サプレッサー には周囲に気付かれないほどの消音効果はない。ある程度の発射音・反響の抑制がせいぜいである。 サイレンサー / サプレッサー を使用すると銃声がほとんど聞こえなくなるという誤解が広まったのは、映画などの創作物の演出が生んだ結果と言えるだろう。

サイレンサー サプレッサー の誤解

ただし、大きな消音効果がないとはいえ何かしらのメリットがあるからこそ使われているアクセサリーであり、日々研究が進み新しいモデルが次々に誕生しているジャンルでもある。そこで、実際の サイレンサー / サプレッサー の成り立ちから現代での存在意義について触れつつ、エアガンアクセサリーとしての有用性についても解説していこう。

目次

サイレンサー ? サプレッサー ? 正しい名称はどっち?
サイレンサー / サプレッサー の仕組みと効果
 ・実銃の場合
 ・エアソフトの場合
サイレンサー / サプレッサー の進化は現在進行形

 

サイレンサー ? サプレッサー ? 正しい名称はどっち?


この記事を読んでいて既にお気づきかと思うが、1つのガン・アクセサリーについて話しているのに何故 サイレンサー サプレッサー の2つの呼称を並記しているのか。それはどちらの表記も間違いではないし、またどちらかに絞ることも難しいのが現実だからである。なぜ呼称が複数あるのか、もしくは呼称の違いによって性能の差はあるのだろうか?

商業的にはじめて成功した銃器用の消音器が誕生したのは20世紀初頭のアメリカ合衆国で、消音器の特許と「マキシム・サイレンサー(Maxim Silencer)」という商標が登録された。この特許と商標がきっかけとなったのかは不明だが、アメリカにおける銃器用消音器の法律には「サイレンサー(Silencer)」という表記が使われているため、法的には サイレンサー と呼ぶことが正しいとされている。(ただし、現在では サイレンサー のほかにマフラーという表記も使われている。)

マキシム・サイレンサー
出典:SilencerCo

それに対して、「サプレッサー(Suppressor)という呼称が登場したのは1980年代とかなり後になってからだ。元々はマズルブラスト(衝撃波)を低減する抑制器として特許となったデバイスを差す言葉であったが、結果的に銃声も抑制できるため音にのみ関係する「サイレンサー」という言葉よりも理に適った呼称と言える。またサイレンサーの綴りは「Silencer」で消音という意味になるが、決して銃声が消えるわけではないため「誇張ではないか」とした意見を持つ人々が抑制を意味するサプレッサーを用いるようになった。

つまるところ、 サイレンサー と サプレッサー はほぼ同じものを差す言葉であり、広義では機能的な違いも少なくどちらの呼称も間違いではない、というのがおおよその見解となっている。アメリカでは サイレンサー と法律に呼称が明記されている以上、消音せず抑制効果しかない場合であっても景品表示法として問題はない。そのため、どちらの呼称を使用するかはメーカーに委ねられているのが現状だ。

余談ではあるが、イギリスでは「サウンドモデレーター(Sound Moderators)」という呼称が一般的である。

 

サイレンサー / サプレッサー の仕組みと効果

実銃の場合

銃を撃った際、マズル(銃口)からは弾頭に続いて火薬の燃焼によって発生した高圧ガスも放出されるが、急激な圧力変化が起きるため空気が激しく振動し強烈な破裂音として聞こえる。これが銃声の正体だ。この高圧ガスの放出スピードを抑えることで銃声を抑制するのが サイレンサー / サプレッサー の役目となる。

弾薬の発射時に発生する高圧ガスは燃焼ガスであるため非常に高温である。 サイレンサー / サプレッサー は内部に多数の空気室が設けられ、マズルから放出された高圧ガスを筒の内部で拡散・冷却し圧力を下げてから外部に出すため銃声を抑制することができる。映画のような消音とはいかないものの、聴覚障害を引き起こすと言われるほど大きな銃声を数十dB下げることができる。(それでもジェットエンジン並みの音量はあるが)

サイレンサーの仕組み
出典:zigya.com

本来、 サイレンサー / サプレッサー は周囲への騒音低減や射手の聴覚保護などが主な目的となるが、戦場においては小隊内での戦闘中のコミュニケーション改善や敵から銃声の発生源を特定されにくくなるメリットもあり、兵士の生存率を上げるという意味でも重要な役割を果たしている。また、その構造から銃声だけでなくマズルフラッシュ(発射炎)の抑制効果もあるため、音と視認性の両面で敵から発見されにくくなる。そのため軍の、特に特殊部隊では今や必須とも言える装備品の1つであり、納入される サイレンサー / サプレッサー には厳しい採用基準が設けられている。

キルハウス

なお通常の弾薬は音速を越えるスピードで弾頭が飛翔するためソニックブームが発生し、これも銃声の一部として耳に入る。 サイレンサー / サプレッサー によるソニックブームの抑制には限界があるが、近年では弾頭スピードを音速以下まで落とした亜音速弾と併用することで銃声をかなり抑制できるようになっている。アメリカ軍の特殊部隊などで採用が進むLVAW(Low Visibility Assault Weapon:低視認性突撃銃)はこの仕組みを体現したライフルで、.300BLK亜音速弾やそれに対応した サイレンサー / サプレッサー の需要増加を見込んで各社しのぎを削るカテゴリーとなっている。

現在では サイレンサー / サプレッサー は軍の特殊部隊では欠かせないアクセサリーとなっているのはもちろん、一般兵でも配備が進み始めており、サバゲーにおいても装備再現をするプレイヤーにとっては必須アイテムとなっている。

 

エアソフトの場合


ここまで解説した通り実銃では効果的な サイレンサー / サプレッサー であるが、実銃のような銃声も高圧ガスも発生しないエアソフトガンにおいては、トレーサー(蓄光弾を発光させるためのユニット)を内蔵できるという事以外はただの飾りと思われがちだ。しかしそう決めつけるのはまだ早い。

エアソフトガンはプレイヤーにとって自身のエアガンから発生する駆動音が目立つため、マズルに サイレンサー / サプレッサー を付けても効果が無いと感じるかもしれないが、圧縮空気でBB弾を飛ばすエアソフトガンでも空気の破裂音は少なからず発生し、発射音は相手プレイヤーに聞こえている。特に、エアコンプレッションを高めた流速カスタムであれば発射音の大きさは如実である。

スポンジをセットしたエアガン用サプレッサー

エアソフトガンの場合には実物と同じ構造の サイレンサー / サプレッサー を用いても効果的とは言えず、また構造まで実物をフルコピーしても重量が増し高価にもなるため、基本的にレプリカは外側を再現するに留まっている。そこでエアソフト用の サイレンサー / サプレッサー では内部にスポンジを仕込むことで発射音を押さえる方法が一般的だ。メーカーによっては最初からスポンジを内蔵して販売している場合もある。

スポンジはスピーカーの吸音材としても使用されており、人間にとって不快な反響音や高音を軽減する効果がある。実銃同様発射音を完全に消すことは難しいが、高音が抑えられることによって目立たない発射音に変えることができるのだ。周囲の環境音に馴染みやすいこもった音になり、僅かながらdB値も小さくなる。下記の動画では計測位置や撮影環境が悪く実際の効果は分かりにくいが、本体の駆動音を拾いにくい銃口側で計測すればもっと良い結果が期待できるだろう。

また実弾とは違いBB弾は音速の1/4程度の初速であるため、サバゲーでは発射音が聞こえてからBB弾が飛んでくることになる。相手プレーヤーが発射音に気付きにくくなれば、音に反応して身を屈める確率も低くなり、キルを取りやすくなる効果が期待できる。

 

サイレンサー / サプレッサー の進化は現在進行形


サイレンサー / サプレッサー が銃声と発射炎の抑制効果により兵士の生存率を上げるのは先述の通りであるが、聴覚保護という意味でもオペレーターの健康被害を最小限に留める重要な役割を果たしている。しかし、健康面だけを考慮すると サイレンサー / サプレッサー にはデメリットも存在する。それは燃焼ガスの吹き戻しによる有毒成分の吸引である。

サイレンサー / サプレッサー は燃焼ガスの放出スピードを抑える分、ガスチューブを通して燃焼ガスに含まれたり銃身に残存する有毒成分が射手の元まで戻りやすくなる。この有毒成分からオペレーターを守ることも目下の課題となっているのだ。

軍用サイレンサーとしてメジャーなSUREFIRE(シュアファイア)はこの問題にいち早く取り組んでいるメーカーの1つであり、2023年に新バージョンとして発表されたSOCOM556-RC3は、 サイレンサー / サプレッサー としての機能を維持しつつ燃焼ガスを前方に逃がす設計により、従来よりも60%もガスの吹き戻しを軽減している。市場に参入するメーカーが乱立する昨今、このような付加価値を付ける工夫も サイレンサー / サプレッサー には必要になってきている。

シュアファイア SOCOM556-RC3

SOCOM556-RC3については、エアソフト用レプリカの製作を早くもANGRY GUNが進めており、近いうちに新製品として登場することが期待される。

近年、アメリカ軍での採用が相次ぎ勢いづくSIG SAUERも、LVAWセットアップや一般装備向けのサプレッサーをラインナップしており目が離せないメーカーである。サプレッサーの使用が前提にあるMCXでは本体とセットで納入されていることがほとんどだが、他にも9mmハンドガン用に設計されたMODX-9は全長と機能のどちらを優先するかでユーザーがチタン製バッフルの個数を可変できるというもので、オプションのバレルスペーサーを使用すれば銃身の長いMPXでも使用が可能だ。

シグザウエル MODX9

民間系の サイレンサー / サプレッサー も負けてはいない。「民間」とは書いたが、性能が優れていれば軍に採用されるチャンスもある業界だ。現在注目すべきカテゴリーとしては、軽量化を目指して設計されたチタン製サプレッサーや、従来の製造方法では難しい複雑な内部構造を実現した3Dプリンター製サプレッサーなどが挙げられる。チタンは耐久性の面で従来の鋼材より劣るため軍用としてはまだ正式な採用は無いようだが、設計の自由度と強度を両立した3Dレーザー焼結技術の併用により、軽量化と性能面で既存の サイレンサー / サプレッサー に勝るモデルが表れ始めている。過去に紹介したCGS Groupはその筆頭である。

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民間といえば面白いものがある。自動車やバイクのエンジンオイルフィルターを使用してDIYされたフィルター缶のサプレッサーだ。オイルフィルターは汚れたエンジンオイルからエレメントで不純物を取り除くろ過装置だが、奇しくも サイレンサー / サプレッサー と構造が似ており、バレルに取付けるスレッドを取り付ければ簡易なサプレッサーが作れてしまうのだ。(どうやら先端の穴あけはそのまま実弾を撃って空けているらしい)


出典:Youtube:Opie In The Smokies

実銃用の サイレンサー / サプレッサー は構造が複雑で高価だし、欧州では所持と使用には登録手続きが必要である。そのため安価に製作できるうえ意外にも性能が良いオイルフィルターサプレッサーは、シューティングを楽しむ愛好家の中でブームにもなっているようだ。(正式には登録が必要となるはずだが…)
このパロディのようなサプレッサーをエアソフト用でも本物のオイルフィルターで作ってしまった製品も存在する。

もうここまでくるとネタのようにも思えるが、実銃同様、意外にも抑音効果があって面白い。マズルから拡散する発射音を缶内にこもらせたるため、流速チューンなどでは特に効果が期待できるサプレッサーと言えそうだ。

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サバゲーにおいて サプレッサー / サイレンサー は装備やエアガンの再現年代に合わせたものをチョイスするのが主流ではあるが、長年軍用として君臨する定番以外にも、軍採用を目指した様々なものがエアソフト用にモデルアップされ、実銃同様選択肢の広がりを見せている。

幸い、エアガンではライフルに限って言えばマズルスレッドがM14逆ネジもしくは正ネジで統一され弾薬やバレル長による使用可否を気にする必要もないため、デザインさえ気に入れば基本的に何でも取り付けが可能だ。多種多様なエアガンアクセサリーが存在するいま、プレースタイルや外装ドレスアップの方向性に合わせ自分好みの サプレッサー / サイレンサー を選び、発射音抑制の効果を実感したりフィールドに合わせて脱着や付け替えなど楽しんでみて欲しい。

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