ステアーAUGについて

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ステアーAUGについて

ステアーAUG(Steyr AUG)とは、オーストリアのシュタイアー・マンリヒャー社がオーストリア軍向けに開発したアサルトライフル。シュタイアー・ダイムラー・プフ社のStG58(FN FALのライセンス生産品)の後継として、1977年にオーストリア連邦軍歩兵用小銃にStG 77の制式名で採用される。英国連邦の一員であるオーストラリア地上軍(採用名:F88)や、GIS(イタリア軍警察対テロ特殊部隊)にも制式採用されており、ブルパップ式突撃銃の中でもかなりの成功作と云える。SF的な見た目のこの銃は、それまでの軍用銃と異なるいくつかの革新的な試みがされた。

 

ステアーAGUの詳細

細身で未来的な外観の割に1970年代設計と、わりと古めな銃で外観のストックからハンマーやトリガーなど細部パーツに至るまでポリマー樹脂を採用したことにより独特な外観を生み出し軽量化に成功している。マガジンも同様にプラスチック製で、かつ半透明の成型とした為レシーバーに装填したまま外から残弾確認が可能とされる。

AR-18のシステムを多少アレンジした短ガス・ピストン方式となっていて、当時は前例が無かったその設計は、以降の銃器設計に衝撃を与えた。AUGに影響を受けたと思われる銃はP90やF2000、タボール、SAR-21など多種にわたる。銃を構成する7つのパーツ交換ができて、様々な目的に対応可能となる。

バリエーションは基本となる「A1」、キャリングハンドル自体を取り外し可能にして拡張性を高めた「A2」、ピカティニー・レール付きハンドガード標準装備の「A3」、カービンモデルのP、9mm×19対応のSMGモデル、簡易軽機関銃タイプの「LSW/HBAR」、オープンボルト式のLMGモデル、M203グレネードランチャー取り付けモデルなどがある。

ブルパップ特有の問題点、アイアンサイトでの照準合わせがしにくいという点を克服すべく、初めからキャリングハンドル一体型の1.5倍率のスワロフスキー社製テレスコピックサイトを標準装備としている。ブルパップならではの反動の受け流しやすさで、射撃経験の少ない人でも簡単に照準があわせられる。難点はセミ/フルの切り替えでの一般的なセレクターが無く、トリガーの絞り具合で変化する(軽く引けばセミ、深く引けばフル)。しかし実戦での緊張状態の中で撃ち分ける事は難しく、現場の兵士には不評な箇所の一つでもあり、現在のAUGではセレクタースイッチの付いたモデルも存在する。ブルパップ最大の問題点とされる利き手の変更は、実戦においてその場での持ち替えが不可能な点は解決されておらず、この点を不便とするか、銃に合わせた訓練を積むかはユーザー側の判断となる。

 

 

ステアーAGUのバリエーション

・ステアーAUG A1:最初のモデル

・ステアーAUG A2:A1のオプティカルスコープを廃止し、ピカティニー・レールを搭載

・ステアーAUG A3:NATO基準の光学システム(暗視装置など)を搭載できるようモジュールマウントを装着したA2の発展型。後にボルト・ストップ機能を追加したモデルとなった。

・ステアーAUG A3 SA USA:シュタイヤーアームズが製造するA3のセミオートモデル

・ステアーAUG A3 SF:オプティカルスコープにピカティニー・レールを搭載

・ステアーAUG P:警察向けの短銃身カービン。フルオート機能が廃されている。

・ステアーAUG Pスペシャルレシーバー:P型に光学機器搭載用のマウントを装備

・ステアーAUG 9mm:9mm弾を使用する短機関銃

・ステアーAUG M203:銃身の下にM203 グレネードランチャーを取り付けたモデル

・ステアーAUG LSW:ステアーAUGのLSW(軽支援火器)モデル

・ステアーAUG HBAR:重銃身を装備のHBAR(重銃身自動ライフル)。クローズボルト方式。

・ステアーAUG HBAR-T:HBARをもとにして作られた狙撃銃

・ステアーAUG LMG:HBARをもとにつくられたLMG(軽機関銃)。オープンボルト方式。4倍率のオプティカルスコープがつけられている。

・ステアーAUG LMG-T:Pスペシャルレシーバー同様のマウントが装着されたLMG

・ステアーAUG Z:オートマチック機構を取り除いたA2。民間用モデル

・ステアーUSR:米国財務省アルコール・タバコ・火器・爆発物取締局(BATFE)による規制に対応したA2。

・F88:オーストラリアでライセンス生産のモデル。銃剣の装着が可能。

 

※現在、AUGの特許は失効しており、シュタイアー社の許諾なしにクローン製造することが可能となった。主なクローン品として・MSAR STG-556・MSAR STG-E4(XM17 E4・TPD AXRがあげられる。

 

 

ステアーAGUの使用国

アルゼンチン

オーストリア

オーストラリア:F88として使用。

フランス:対テロ特殊部隊GIGNなどが使用。

ドイツ:GSG-9が使用。

ニュージーランド:F88として使用。

パキスタン:パキスタン陸軍特殊部隊Special Services Group(SSG)が使用。

アイルランド

サウジアラビア

チュニジア

アメリカ合衆国

イギリス:SASが使用。

マレーシア

オマーン

ルクセンブルク

イタリア:イタリア陸軍のアルピーニ、カラビニエリの特殊介入部隊とトスカーナが使用。

印象的な独特のシルエットの為か、映画やテレビへの露出は多く、特に1980~90年代の作品においては近未来的な銃として登場することも多かった。あのコマンドーでもアリアス元大統領が使っていた。