ドラグノフ狙撃銃について

ドラグノフ狙撃銃について
ドラグノフ狙撃銃について
 

ドラグノフ狙撃銃の誕生

ドラグノフ狙撃銃とは、ソビエト連邦が開発したセミオート狙撃銃である。
ソビエト連邦では、第二次世界大戦時の教訓や実戦での兵士の声から、実際の市街地や山岳地における戦闘は300~500mが中心である事を実感し、市街地においても素早く多目標を沈黙させ得る強度と信頼性のある小銃または狙撃銃を必要としていた。小銃としての安定性と高い生産性を併せ持つAK47に注目したエフゲニー・F・ドラグノフがAKの基本構造を参考に作り上げたのがドラグノフ狙撃銃である。1950年代ソ連軍指導層は、小隊規模での選抜射手と対応するセミオート狙撃銃が必要と考え、ドラグノフ設計の試作品であるSSV-58が1963年に制式採用された。
 
日本では民生向けモデルが猟銃(ライフル銃)として取得可能で、イズマッシュ社製の狩猟用モデルであるタイガーは所持許可の実績もある。用途は狩猟目的に限定されていて、弾倉の装填数を5発以内にする改造、ライフル銃取得に必要な資格(狩猟免許など)、適当な経歴を必要とする。
他の軍用狙撃銃をベースにした民間向けライフルも、日本では上記の条件が通れば所持は可能ではあるが、ほとんどが弾庫の脱着機能を備えたものであり、審査が通らずに所持できない場合が多い。
 

 

ドラグノフ狙撃銃の特徴

外観や操作系はAKに近いが、構造的には異なる点が多い。作動はショートストローク・ガスピストンによるガスオペレーションで、ガスブロック後部にはガスレギュレーターも備えている。ボルトロッキングはAK同様のロータリー式だが、最終弾発射後にはボルトを後退位置に留めるという、AKに無いボルトストップ機能を備え、コッキングハンドルを一旦引くことでリリースする仕組みとなっている。使用弾薬は7.62mm×54Rとなっている。
 
付属のPSO-1スコープは固定倍率4倍、ターゲットの身長から大まかな距離を測定する簡単なレンジファインダーと赤外線発光点を検出する機能が装備されている。赤外線を発光している対象がフィルターごしに輝いて見える仕組みで、IRイルミネーター付暗視装置を使用している敵を想定した装置であった。この装置は、赤外線発光以外はぼやけてしまううえ、比較的可視光に近い波長の赤外線にしかフィルターが反応しないという問題があったため赤外線探知装置を廃したPSO-1M2という派生型が後に作られた。
 
重量は前線で歩兵が運用することを前提としており、他の軍用狙撃銃と比べると非常に軽くて持ち運びに便利な設計となっているが、軽いため射撃時の反動を吸収できず制御が難しいとされる。後の近代化モデルでは、チークピースに回転オフセット機能が追加され、アイアンサイト使用時にはすばやく側面にずらすことが出来るようにされた。
 
1964年からイズマッシュ社によってライン生産される。ワルシャワ条約の関係で当時の東側国家を中心に多くの国で採用され、親ソ連の第三世界諸国にも多数供与された。
後に木製部分を黒塗りのポリマー素材としたものが標準仕様となり、特殊部隊用に透明素材を用いたものもある。イズマッシュ社からは反動の軽減などを図った近代化モデルが発売され、ロシア軍も採用したが、従来の設計のままでは精度を向上させることが難しいことから、1998年よりボルトアクション方式のSV-98 狙撃銃が製造されている。
 

 

ドラグノフ狙撃銃の派生型

・SVDS:折りたたみ可能な銃床に変更したモデル
・SVU・SVU-A・SVU-AS:KBP社がSVDをブルパップ化し、全長を短縮したモデル。サプレッサーも着き、SVU-Aはフルオート機能を持つ。
・SVDM:イズマッシュ社による近代化モデル。
・SVDK(7.62mmモデルと弾庫の形が違う):イズマッシュ社による近代化モデル。9.3x64mm弾に対応
・タイガー:ロシアの民間モデル。主に猟銃として用いられる。.308ウィンチェスター弾を使用するモデルもラインナップされる。
・VS-121:イズマッシュ社がSVDをベースに開発したブルパップ狙撃銃。レシーバーはSVDのものを流用したタイプで、ハンドガードは4面ピカティニー・レールが搭載。