NGSWプログラムに新たな動きあり
進むアメリカ陸軍次世代分隊火器選定
Smuzzleは、サイレンサーとマズルブレーキの機能を併せ持つマズルデバイスだ。特に、アメリカ陸軍のNGSW選定と並行して注目された。ここでは、Smuzzleと6.8 TVCMの動きを整理する。
2019年9月頃からお伝えしているアメリカ陸軍次世代分隊火器「NGSW(Next Generation Squad Weapon)」選定プログラムについて、このところ新たな動きが見られたのでご紹介しよう。
NGSWの目的は、M4A1とM249の後継となる火器の選定だ。さらに、5.56x45mm弾に代わる新弾薬も同時に選ばれる。そのため、弾薬メーカーの動きも注目された。
まだ銃器本体についてはテストが継続されており、SIG、TEXTRON、GENERAL DYNAMICSの3社のうちどのメーカーが選ばれるかは未知数ではあるが、新弾薬の6.8mm弾についてはTrue Velocity社の6.8 TVCMに決まることが濃厚なようだ。
また、Smuzzleという新たなマズルデバイスの開発も進められている事が明らかになった。
Smuzzleと6.8 TVCM 要点まとめ
- NGSWでは、弾薬の有力候補として6.8 TVCMが注目された
- True Velocityが17万発以上を陸軍に納入した
- Smuzzleは、サイレンサーとマズルブレーキを一体化したデバイス
- 陸軍の研究者が、2007年から開発を続けてきた
- 銃本体は、2020年当時は3社でテストが続いていた
True Velocity 6.8 TVCMがアメリカ陸軍に17万発納入される
2020年8月、True VelocityはNGSWのために開発した新弾薬6.8 TVCMを、アメリカ陸軍に17万発提供したことを発表した。
Soldier Systemsによると、納入は2020年5月だった。また、この弾薬は、現行の5.56x45mm弾に代わる弾として開発された。さらに、複合素材のケースで軽量化を狙っている。
True Velocityはケース(薬莢)にポリマー素材を使用する弾薬メーカーで、NGSWプログラムの要件の1つである弾薬の弾道性能向上と軽量化という点では最も優れた評価を受けているようだ。
SOLDIER SYSTEMSより
6.8 TVCMが有力とされた理由
陸軍に納入された17万発はおそらくNGSWプログラムの火器テストで使われるものと思われるが、火器選定のために6.8 TVCMが大量に用意されたという事は、次世代火器の弾薬はTrue Velocity社製弾薬でほぼ決まりと思って良いだろう。
実際True Velocity社は2020年10月、複合素材弾薬のメーカーとしては初めてアメリカの銃器製造業協会SAAMIの新会員として承認されている。SAAMIは連邦政府から銃や弾薬等の信頼性や安全基準の作成を委任されている団体で、True Velocityがこれに参加するということからも今後の新型弾薬の基準化が同社主導で進むことは想像に難くない。
陸軍は2019年8月に、同社の複合素材ケースの弾薬を選んでいた。また、同社はGeneral DynamicsやBerettaと組んで提案した。そのため、納入量の多さが注目された。
True Velocity公式サイトより
新たなマズルデバイス「Smuzzle」とは?
6.8 TVCM納入のニュースと同じ頃、CCDC(陸軍戦闘能力開発コマンド)が発表したのがサイレンサーとマズルブレーキの両方の能力をもつマズルデバイス、その名も「Smuzzle」だ。
Smuzzleは、陸軍の研究者が2007年から開発を続けてきた。開発したのは、Greg Oberlin氏ら3人の研究者だ。なお、2020年3月には関連の特許が認められている。
サイレンサーは発砲音を抑えるもの、マズルブレーキは反動を抑えるもの、とそれぞれ機能が異なり今までは同じデバイスで共存しえない能力であった。NGSW選定の際に次世代火器に装着するのはサイレンサーにするのかマズルブレーキにするのかという議論が起こった際「なぜ両方ではないのか」という1人の研究者の声から開発が始められた。
Smuzzleの仕組みと効果
Smuzzleは発砲時の銃口からのガスを上下に放出することで、銃口を押し下げつつライフルを前方に引く力を加えることが出来る。標準的なマズルブレーキに比べ、射手に伝わるリコイルを半減しつつ閃光も25%程度減少できるという。
また上記のブレーキバッフルの先には3つの消音バッフルが配置され、放出ガスを低圧になるまで拡散する機能を有する。
ブレーキ部のガスは、低い圧力で少し長い時間をかけて放出される。そのため、反動と音の両方を抑えやすい。さらに、ボトムブロッカーが粉塵の舞い上がりを抑える。
Smuzzleは7.62x51mm NATO弾と6.8 TVCMの両方でテストされている。本来マズルデバイスについては次世代火器を開発中の3社が銃器本体と同時に開発を進めていたが、Smuzzleが正式に次世代デバイスとして認められればそれに合わせた火器の仕様調整が新たな要件として加わる可能性もある。
報道では、音量が約50%、閃光が約25%減るとされた。ただし、これは研究側の数値で、独立した検証結果ではない。また、M240B機関銃でもテストされた。
2020年当時のNGSW本体の見通し
アメリカ陸軍の次世代分隊火器について、新弾薬にTrue Velocityが選ばれるとなると、火器類についてもTrue Velocityと共同で開発を進めるGENERAL DYNAMICSが有力なのではないかという想像もできるが、如何せんRM277はブルパップ式ということで可能性が低いようにも思える。
サイドアームとしてハンドガンをアメリカ軍に納めているSIG SAUERの線も大いにあり得るし、上記画像のようにSmuzzleがTEXTRONのNGSW-Rに装着されている写真が出回っていることを考えるとそちらの可能性も捨てきれない。
肝心の次世代分隊火器本体についてはまだまだ結論が見えないが、今現在アメリカ軍の標準ライフルであるM16/M4並びに5.56×45mm NATO弾が歴史的な転換期を迎えるかもしれない重要な局面であり、今後もNGSWプログラムには注目していきたいところだ。
その後のNGSW選定結果
2022年4月、アメリカ陸軍はSIG SAUERを選定した。そして、ライフルはXM5(のちにXM7へ名称変更)で、軽機関銃はXM250だ。陸軍は、M4とM249の後継と位置づけている。
ただし、SIG SAUERの発表では、弾薬は軽量な金属ケースの6.8x51mm FURY Hybridだ。そのため、本記事で有力とされた6.8 TVCMが、そのまま採用されたとは言えない。
Smuzzleに関するよくある質問(Q&A)
Q. Smuzzleとは何ですか?
サイレンサーとマズルブレーキの機能を併せ持つマズルデバイスだ。アメリカ陸軍の研究者が開発した。
Q. Smuzzleは誰が開発しましたか?
陸軍の研究者、Greg Oberlin氏ら3人だ。また、2007年から開発が続いた。
Q. Smuzzleの効果はどれくらいですか?
音量が約50%、閃光が約25%減るとされた。ただし、研究側の数値で、独立した検証結果ではない。
Q. Smuzzleはどんな弾薬でテストされましたか?
7.62x51mm NATO弾と、6.8 TVCMでテストされた。また、7.62mmのM240B機関銃でも試験された。
Q. 6.8 TVCMとは何ですか?
True Velocityが開発した、6.8mmの新弾薬だ。また、複合素材のケースを使い、弾薬の軽量化を狙っている。
Q. True Velocityは何発を納入しましたか?
17万発以上を陸軍に納入した。ただし、納入は2020年5月で、発表は同年8月だった。
Q. NGSWは、その後どうなりましたか?
2022年4月に、陸軍がSIG SAUERを選定した。なお、ライフルはXM5(のちにXM7)、軽機関銃はXM250だ。
Q. NGSWは何の後継ですか?
M4カービンとM249 SAWの後継と位置づけられている。さらに、5.56x45mm弾に代わる新弾薬も採用される。











