ステアーAUGは、オーストリア軍が採用した、ブルパップ式のアサルトライフルです。この記事では、開発の経緯、特徴、バリエーション、使用国を整理します。
ステアーAUGについて
ステアーAUG本体の要点まとめ
- ステアーAUG、正式にはSteyr AUGは、オーストリア軍向けに開発されたブルパップ式のアサルトライフル
- 1977年に、オーストリア連邦軍の歩兵用小銃として、StG 77の名称で採用された
- ポリマー樹脂を多用して軽量化し、7つのパーツ交換にも対応できる
- トリガーの引き具合で、セミとフルを切り替える独特の仕組みを持つ
- A1、A2、A3、P、LSW、HBAR、LMG、Zなど、派生モデルが多い
ステアーAUG(Steyr AUG)とは、オーストリアのシュタイアー・マンリヒャー社がオーストリア軍向けに開発したアサルトライフル。シュタイアー・ダイムラー・プフ社のStG58(FN FALのライセンス生産品)の後継として、1977年にオーストリア連邦軍歩兵用小銃にStG 77の制式名で採用される。英国連邦の一員であるオーストラリア地上軍(採用名:F88)や、GIS(イタリア軍警察対テロ特殊部隊)にも制式採用されており、ブルパップ式突撃銃の中でもかなりの成功作と云える。SF的な見た目のこの銃は、それまでの軍用銃と異なるいくつかの革新的な試みがされた。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | ステアーAUG(Steyr AUG) |
| 開発 | シュタイアー・マンリヒャー社(オーストリア) |
| 制式名 | StG 77(1977年に採用) |
| 作動方式 | 短ガス・ピストン方式 |
| 照準器 | 1.5倍率のテレスコピックサイトを標準装備(スワロフスキー社製) |
| 主な採用 | オーストリア、オーストラリア(F88)、イタリアのGISなど |
ステアーAUG、特にそのSF的な見た目は、とても印象的です。つまり、一目で見分けやすい銃だと言えます。また、見た目だけでなく、設計にも多くの工夫があります。
ステアーAGUの詳細
細身で未来的な外観の割に1970年代設計と、わりと古めな銃で外観のストックからハンマーやトリガーなど細部パーツに至るまでポリマー樹脂を採用したことにより独特な外観を生み出し軽量化に成功している。マガジンも同様にプラスチック製で、かつ半透明の成型とした為レシーバーに装填したまま外から残弾確認が可能とされる。
ステアーAUG本体は、ポリマー樹脂を多用して、軽量化しました。また、半透明のマガジンは、残弾の確認に便利です。
ステアーAUG本体の構造と設計
AR-18のシステムを多少アレンジした短ガス・ピストン方式となっていて、当時は前例が無かったその設計は、以降の銃器設計に衝撃を与えた。AUGに影響を受けたと思われる銃はP90やF2000、タボール、SAR-21など多種にわたる。銃を構成する7つのパーツ交換ができて、様々な目的に対応可能となる。
このように、ステアーAUG系の設計は、後の銃器にも影響を与えました。つまり、ブルパップ銃の歴史を語るうえで、欠かせない存在です。
ステアーAUG系統の派生モデル
バリエーションは基本となる「A1」、キャリングハンドル自体を取り外し可能にして拡張性を高めた「A2」、ピカティニー・レール付きハンドガード標準装備の「A3」、カービンモデルのP、9mm×19対応のSMGモデル、簡易軽機関銃タイプの「LSW/HBAR」、オープンボルト式のLMGモデル、M203グレネードランチャー取り付けモデルなどがある。
ステアーAUG系統は、用途に合わせて、細かく派生しています。そのため、詳しい違いは、次のバリエーション一覧で確認できます。
ステアーAUG実機の照準と操作性
ブルパップ特有の問題点、アイアンサイトでの照準合わせがしにくいという点を克服すべく、初めからキャリングハンドル一体型の1.5倍率のスワロフスキー社製テレスコピックサイトを標準装備としている。ブルパップならではの反動の受け流しやすさで、射撃経験の少ない人でも簡単に照準があわせられる。難点はセミ/フルの切り替えでの一般的なセレクターが無く、トリガーの絞り具合で変化する(軽く引けばセミ、深く引けばフル)。しかし実戦での緊張状態の中で撃ち分ける事は難しく、現場の兵士には不評な箇所の一つでもあり、現在のAUGではセレクタースイッチの付いたモデルも存在する。ブルパップ最大の問題点とされる利き手の変更は、実戦においてその場での持ち替えが不可能な点は解決されておらず、この点を不便とするか、銃に合わせた訓練を積むかはユーザー側の判断となる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 照準 | 1.5倍率のサイトが標準装備で、射撃経験が少なくても照準を合わせやすい |
| 反動 | ブルパップならではの構造で、反動を受け流しやすい |
| 射撃の切り替え | 一般的なセレクターが無く、トリガーの引き具合で切り替える |
| 利き手の変更 | その場での持ち替えができず、訓練や判断が必要 |
ブルパップには、利点と注意点があります。ただし、ステアーAUG、特にA1は、照準器を標準装備にして、弱点を補っています。
ステアーAGUのバリエーション
・ステアーAUG A1:最初のモデル
・ステアーAUG A2:A1のオプティカルスコープを廃止し、ピカティニー・レールを搭載
最初のA1は、光学スコープを備えたモデルです。一方、A2では、スコープを廃止して、レールを搭載しています。そのため、好みの光学機器を載せやすくなりました。
・ステアーAUG A3:NATO基準の光学システム(暗視装置など)を搭載できるようモジュールマウントを装着したA2の発展型。後にボルト・ストップ機能を追加したモデルとなった。
ステアーAUG A3系と警察向けモデル
・ステアーAUG A3 SA USA:シュタイヤーアームズが製造するA3のセミオートモデル
・ステアーAUG A3 SF:オプティカルスコープにピカティニー・レールを搭載
・ステアーAUG P:警察向けの短銃身カービン。フルオート機能が廃されている。
・ステアーAUG Pスペシャルレシーバー:P型に光学機器搭載用のマウントを装備
警察向けのPは、短銃身で、フルオート機能が廃されています。そのため、運用する場面が大きく異なるモデルです。
ステアーAUG A2ベースの短機関銃・軽機関銃モデル
・ステアーAUG 9mm:9mm弾を使用する短機関銃
・ステアーAUG M203:銃身の下にM203 グレネードランチャーを取り付けたモデル
・ステアーAUG LSW:ステアーAUGのLSW(軽支援火器)モデル
・ステアーAUG HBAR:重銃身を装備のHBAR(重銃身自動ライフル)。クローズボルト方式。
・ステアーAUG HBAR-T:HBARをもとにして作られた狙撃銃
・ステアーAUG LMG:HBARをもとにつくられたLMG(軽機関銃)。オープンボルト方式。4倍率のオプティカルスコープがつけられている。
・ステアーAUG LMG-T:Pスペシャルレシーバー同様のマウントが装着されたLMG
HBARをもとにして、狙撃銃のHBAR-Tや、軽機関銃のLMGが作られました。このように、同じ設計から多くの役割が生まれています。
民間向けと各国向けのステアーAUG
・ステアーAUG Z:オートマチック機構を取り除いたA2。民間用モデル
・ステアーUSR:米国財務省アルコール・タバコ・火器・爆発物取締局(BATFE)による規制に対応したA2。
・F88:オーストラリアでライセンス生産のモデル。銃剣の装着が可能。
| モデル | 特徴 |
|---|---|
| A1 | 最初のモデル |
| A2 | キャリングハンドルが取り外し可能で、ピカティニー・レールを搭載 |
| A3 | NATO基準の光学システムを搭載できるモジュールマウント付き |
| P | 警察向けの短銃身カービン |
| LSW / HBAR | 軽支援火器や、重銃身を備えた自動ライフル |
| Z | オートマチック機構を取り除いた民間用モデル |
民間用のZは、オートマチック機構を取り除いたA2です。また、アメリカ向けのUSRは、規制に対応したモデルです。そのため、国ごとの事情に合わせた派生型もあります。
ステアーAUGのクローン品と特許
※現在、AUGの特許は失効しており、シュタイアー社の許諾なしにクローン製造することが可能となった。主なクローン品として・MSAR STG-556・MSAR STG-E4(XM17 E4・TPD AXRがあげられる。
特許が失効したため、ステアーAUGのクローン品が作られるようになりました。ただし、純正品とは、メーカーも仕様も異なります。
ステアーAGUの使用国
アルゼンチン
オーストリア
オーストラリア:F88として使用。
フランス:対テロ特殊部隊GIGNなどが使用。
ドイツ:GSG-9が使用。
ニュージーランド:F88として使用。
パキスタン:パキスタン陸軍特殊部隊Special Services Group(SSG)が使用。
アイルランド
サウジアラビア
チュニジア
アメリカ合衆国
イギリス:SASが使用。
マレーシア
オマーン
ルクセンブルク
イタリア:イタリア陸軍のアルピーニ、カラビニエリの特殊介入部隊とトスカーナが使用。
| 国 | 使用部隊など |
|---|---|
| オーストラリア | F88として使用 |
| ニュージーランド | F88として使用 |
| フランス | 対テロ特殊部隊GIGNなど |
| ドイツ | GSG-9 |
| イギリス | SAS |
| パキスタン | 陸軍特殊部隊SSG |
| イタリア | アルピーニ、カラビニエリの特殊介入部隊など |
このように、ステアーAUG系は、軍だけでなく、特殊部隊でも使われています。そのため、世界中で実績のあるライフルです。
映画やテレビに登場するステアーAUG
印象的な独特のシルエットの為か、映画やテレビへの露出は多く、特に1980~90年代の作品においては近未来的な銃として登場することも多かった。あのコマンドーでもアリアス元大統領が使っていた。
ステアーAUG、とくに1980〜90年代の作品での活躍は、近未来的な銃の印象を広めました。つまり、実銃だけでなく、作品を通じても知られています。
ステアーAUGに関するよくある質問(Q&A)
Q. ステアーAUGとは、どんな銃ですか?
オーストリア軍向けに開発された、ブルパップ式のアサルトライフルです。そのため、軍や特殊部隊で広く使われてきました。
Q. いつ、軍に採用されましたか?
1977年に、オーストリア連邦軍の歩兵用小銃に、StG 77の名称で採用されました。また、StG58の後継にあたります。
Q. ステアーAUGの特徴は何ですか?
ポリマー樹脂を多用して、軽量化している点です。さらに、半透明のマガジンで、残弾を外から確認できます。
Q. セミとフルは、どう切り替えますか?
一般的なセレクターが無く、トリガーの引き具合で切り替えます。つまり、軽く引けばセミ、深く引けばフルです。ただし、現在のモデルには、セレクタースイッチ付きもあります。
Q. ステアーAUG、バリエーションには何がありますか?
基本のA1に加えて、A2、A3、警察向けのP、軽機関銃のLSWなどがあります。また、民間用のZもあります。
Q. どの国で使われていますか?
オーストリアのほか、オーストラリアやニュージーランドがF88として使っています。さらに、フランスのGIGNや、イギリスのSASなども使用しています。
Q. ステアーAUG、クローン品はありますか?
あります。特許が失効したため、MSAR STG-556などのクローン品が作られています。ただし、純正品とは、メーカーが異なります。
Q. ブルパップ式の注意点は何ですか?
利き手の変更が難しい点です。つまり、その場で持ち替えることができません。そのため、訓練や運用の判断が必要になります。






