GLOCK47の深まるナゾ…アメリカLEで採用が続く謎のグロック
ハイブリッド機種G47の存在意義はあるのか?
アメリカ軍の新制式採用ピストル選考ではSIG P320に敗れてしまったグロック。しかし、そのプログラムで誕生したGLOCK19Xは民間市場では大いに注目を集め、第5世代(Gen5)を象徴するモデルとして大成功を収めています。
カラーを通常のブラックへと戻した兄弟機「G45」を含め、各国の法執行機関(LE:Law Enforcement)では相変わらずの採用率を誇り、米国でもFBIや州警察で採用が続いています。
そんな中、2019年4月にアメリカ税関国境警備局(CBP)もグロックの3つのモデルについて納入契約を交わしたことが発表されました。しかし、その内1つのモデルに対し各銃器メディアから疑問の声が挙がっています。発表されたモデルは以下の3つ。
- GLOCK G26 Gen5
- GLOCK G19 Gen5 MOS
- GLOCK G47 MOS
お判り頂けただろうか…聞きなれないグロックがあることに…。
G47って何やねん!
G47とは、G45(G19Xのブラックカラーバージョン)のフレームにG17サイズのスライドを組み合わせたモデル。ただし、スライドは専用設計でG17のスライドをG47に組み込むことはできません。フレームの全長が短い分、17サイズのスライドははみ出すことになりますが、その部分をフォローする設計になっているのです。
尚、G19のスライドはG47に組み込むことが可能。まぁ…なんというかそれはG19X(G45)になるってことですよね。スライドを交換することでフルサイズにもクロスオーバーサイズにもできる、ハイブリッドなモデルということがウリの様です。
G47の特長をまとめると…
- 全体のサイズ自体はG17と同等。
- フレームはG19X(G45)と同じクロスオーバーサイズ。
- G17のスライドには交換できないが、G19(G19X/G45)のスライドには交換できる。
- ちなみにモデル名にGen5とは記載されないが第5世代。第4世代以前には無いモデルのため、現行では世代表記をしないルールらしい。
このG47というモデルはグロックの民間向けモデルには存在せず、どうやらCBPとの契約でわざわざ作られたモデルである可能性が高い様です。また、G47はアメリカシークレットサービスでもG19と合わせ採用が決まったとの情報があります。
2025年追記:
正式な年月はわかりませんが、コマーシャルモデルにもG47が追加されました。
この事実に対し、アメリカのガンメディアでは「G47って必要?」という疑問が投げかけられています。同じサイズのG17があるのに何故わざわざ新たなハイブリッドモデルを作ったのか。G19とスライドを入れ替えられるとしても、そもそもG19も採用されているし、コンシールドキャリーを考えるならG26もあるのでG47の出番はありません。フルサイズのハンドガンを使いたかったらハナからG17で良かったのでは?というナゾが残ります。
一説では、アメリカ軍に制式採用されたP320(M17/18)がモジュラーハンドガンシステムとしてフレームやスライドサイズを任意に変更できることから、法執行機関でも同じようなモジュラー性能が欲しいと対抗意識を持ったのでは?とする考察も挙がっています。
SIG P320は高級機ですし、警察機関程度の納入数ではディスカウントもないでしょうし、廉価なグロックでモジュール性能を担保したかったのでしょうか?グロック社的にはモジュールピストルをPRする良い機会になったのは確かですが(笑)
2025年追記:
G47は捜査官クラスへの支給がメインで、制服組のオフィサーにはG19が支給となっているそうです。捜査官が各個人のニーズに応じてスライドを自由に選択できる、というところに重きを置いた結果のようです。アメリカ軍の新制式採用ピストル選考が、間接的とはいえG19XのみならずG47も生んだという面白い事例ですね。
また、このG47 MOSがGHKからモデルアップされるというニュースも飛び込んできました。今後、エアソフト製品でのG47の動向にも注目です。
※当記事は2019年に執筆しましたが、2025年に追記及び一部改訂を加えております。






