MCX SPEAR LT の実銃も含めた各モデルの紹介
驚きの価格帯とそれに見合わぬ実力も備えたガスブロライフルとして、突如エアソフト業界に殴り込みをかけてきた SALVO PRECISION MCX SPEAR LT !! 新規メーカーということで、中々手を伸ばしづらいプレイヤーさんが多いかも?という心配をよそに、大変ご好評を頂いております。まぁ結局中身は実績ある工場で作られていますので…(大人の事情?笑)
SALVO製MCXは東京マルイMWSマガジンが使用できるというアドバンテージもあって運用しやすく、コスパの良さと併せて今最も注目のガスブロモデルと言わざるを得ません!内部パーツや実射してみた動作性能、弾道などリポートしていきたい所ですが…まだデータがまとめきれていませんので、性能レビューはもう少々お待ちいただければと思います。他にもORGA独自のカスタムメニューなんかも考えています。
今回は元ネタとなる実銃 MCX SPEAR LT について、いかなるモデルなのかに触れつつ、SALVO製 MCX SPEAR LT ガスブロの外装についても併せて紹介していきたいと思います。
目次
MCX SPEAR LT 誕生の背景
・SPEAR LT で大きく変わったMCXのイメージ
・MCX LT CSAW とは?
・SIG MCX の今後(予想)
SALVO PRECISION MCX SPEAR LT の外装レビュー
・MCX SPEAR LT 11.5inch
・MCX SPEAR LT 10.5inch CSAW
MCX SPEAR LT 誕生の背景
SIG MCX は本サイト「OUTLINE」でも度々ご紹介してきた現代を代表するアサルトライフルシリーズの1つです。
MCX自体、もはや説明するまでもないポピュラーモデル、と言いたいところですが、SALVO PRECISION の SPEAR LT モデルを比較するとハンドガードやトリガーに違いが見られます。10.5インチについてはCSAWモデルとなっている訳ですが、この違いは何なのでしょうか。
その辺りも含めて、今回は特に SPEAR LT に焦点を当てて、誕生した背景等について触れていきたいと思います。
※MCXは特殊部隊向けライフルとして開発された経緯もあり情報が少なく、既出の情報もガンメディアによる考察や写真から推測されたものなど、憶測の域を出ない面が多分にあります。今後、見識が変わってくる可能性もありますので、あくまで推論の1つとしてお読みください。
SPEAR LT から大きく変わったMCXのイメージ
SIG SAUERからMCXが発表されたのは2013年のこと。開発のきっかけは、イギリス陸軍特殊空挺部隊(SAS)によるUCIW(Ultra Compact Individual Weapon)プログラムとされており、その座を競っていたHK416Cと並びコンパクトカテゴリのライフル(PDW?)として登場しました。
また当時、300BLK亜音速弾とサプレッサーを併用したLVAW(Low Visibility Assault Weapon)プログラムが米軍で進められており、SIG SAUERはこちらにも参加していました。MCXにはハニーバジャーの対抗馬というキャラクターも与えられていました。
UCIWもLVAWもコンパクト且つ敵からの視認性の低さを追求する要件であり、2015年から販売開始した民間向けモデルでは(規制対応のため16インチモデルもあるものの)第1世代や、それに続く第2世代のVIRTUSやRATTLER(UCIWベース?)も、その意匠を色濃く反映したモデルでした。
しかし、MCXにはモジュールライフルとしての機能性も盛り込まれていたことから、その後アメリカ陸軍で進められたNGSW(次世代分隊火器:Next Generation Squad Weapon)要件にもマッチしており、MCXには今後のスタンダードカービンとしての大きな可能性も見出されます。SIG SAUERはNGSWプログラムへの参加に伴い、コンペティション向けに開発したプロトタイプ NGSW-R を MCX SPEAR として2021年に発表します。
NGSWではライフルだけでなく5.56mmや7.62mmのNATO弾に代わる新規弾薬の開発も含まれており、SPEARは新開発した277 FURY(6.8x51mm Hybrid)弾や同サイズの7.62×51mm弾を使用するライフルとしてラインナップされます。そのためロアレシーバーやマガジンなどは7.62mm弾と同じ大型サイズで、アッパーも内部構造の違いからかトップレールが高く、専用設計となっています。その重量は約4kgとなかなかのヘビー級です。
そしてこのSPEARの開発によって、民間向けMCXモデルに大きな変化が生じます。それまで、ブラックやグレー基調をメインにいかにも法執行機関市場を狙っていたラインナップを刷新。フラットダークアースを標準にして、名称もVIRTUSから SPEAR LT に変更。ミリタリー色を前面に押し出したラインナップで、2022年から第3世代MCXのスタートを切ります。(RATTLERはまだ健在。)
MCX LT CSAW とは?
MCX SPEAR LT を語るうえでは、SPEAR以外にも外せないモデルが存在します。それが2021年に発表されたMCX LTです。
MCX LT もまた、SPEARと同じく軍用として開発されたMCX派生モデルで、デルタフォースによるCSAW(Confined Space Assault Weapon)として開発されました。そのため一般販売や民間モデル化はされていないようです。
発表年がSPEARと被っており同時期に開発が進められていた様ですが、MCX LTは5.56mm仕様でVIRTUSベースであると考えられます。また、MCX LTはSIG SAUERの製品名であるだけで、実際に納入されたCSAWには更に異なる改良点が加えられている可能性も否定できません。
MCX LT(またはそれをベースとしたCSAW)はデルタフォースによって実際に運用されており、数は少ないですが写真や動画などメディアで確認されています。LTはLight=軽量化を意味しており、レシーバーやハンドガードなどに改善が見られます。しかし、SPEARではNGSWの要件に従って大幅に改変されたカービンライフルとなっている一方で、MCX LTは見た目の違いは軽微でVIRTUSのバリエーションモデルの様な印象です。
デザインや使用弾薬から判断すれば、MCX LT と SPEAR LT は非常に近いモデルであると言えます。モデル名称から SPEAR LT は SPEAR の軽量バージョンという印象を受けますが、SIGが SPEAR LT について「前身であるMCX Virtusの伝統を受け継ぐ」と説明している通り、VIRTUS → SPEAR LT という流れが本筋であり、MCX LTのエッセンスも加えたのが SPEAR LT なのでしょう。ハンドガードもデザインが非常に似ています。
出典:gettyimages Alex J.Rosenfeld
VIRTUS後継機に敢えてSPEARの名を冠したのは、NGSWでの勝利(M7として本調達開始)や次項で考察した今後の狙いがあるものと思われます。ただし、ハンドガード固定用のボルト追加など共通点もあることから、同時期の開発という点で互いに影響がなかったとも言い切れません。Tier1 デルタフォース用なだけあり不明点の多いモデルですが、ミリフォトでもっと活躍の姿を拝みたいものです。
SIG MCX の今後の狙い(予想)
MCXは初期から、開発の動機やメイン市場も特殊部隊向け一辺倒でしたが、SPEAR LT発表以降はスタンダードなミリタリーカービン路線に舵を切ったプロモーション展開を強く打ち出しています。また、モジュールライフルという特性を活かし、納入先の要望に合わせやすいという点も見逃せません。
ガンメーカーの業績は一般向けの販売よりも、軍や政府機関、法執行機関といった大きな組織への納入がカギとなります。これまでメイン層だった世界各国の警察組織から、国軍特殊部隊への納入実績を増やしていくことが目下の目標となっているのでしょう。
MCXは高価なため一般兵が使用する何千、何万挺単位の発注は難しそうですが、生産数を伸ばしていく中でコストを抑えることができれば、将来的にAR-15以上の存在になる日が来るのかもしれません。
SALVO PRECISION MCX SPEAR LT の外装レビュー
SALVO PRECISIONはメーカー最初のラインナップとして、SIG MCXタイプのガスブロを4機種リリースしましたが、ORGA AIRSOFTでは SPEAR LT 2機種×3カラーに絞って販売を行っております。ここからはエアソフトの話に変え、商品の外装やディテールについて見ていきましょう。
MCX SPEAR LT 11.5inch
2025年現在、SIG MCXのフラッグシップとなっているのが SPEAR LT です。前述の通り、SPEARとは言いつつもベースはVIRTUSに近く、またLTという名の通り、ガスブロでもその軽量化の効果にあやかるモデルとなっています。
実銃では5.56mm仕様で11.5インチ、または16インチがラインナップされますが、ガスブロでは11.5インチをモデルアップしています。 SPEAR LT のメインカラーであるフラットダークアースの他に、VIRTUSで人気だったグレーやブラックも用意されています。
SPEAR LT の特筆すべき点はやはり、ハンドガードでしょう。細くて扱いやすく、しかもM-LOKの増設でアクセサリーの拡張性もアップしています。また、実銃ではモジュール機能のためにガタやレーザーデバイスの精度を落としていたと言われるレシーバーとの整合性も、アッパー固定用のボルトが左右に1本ずつ追加されたことで解消。SALVO製品では固定ボルトなしでも強固に感じますが…。そして、この固定ボルトとピボットピンを解除すれば、テイクダウンしなくてもハンドガードが取り外し可能。モジュール性もしっかり再現されています。
LTという名の通り、レシーバーにもアッパー外周の薄型化などVIRTUSとの違いが見られ、実際に軽量化にも貢献しています。トリガーは SPEAR LT からフラットブレードタイプに変更となり、浅めのRとライトニングホールが特徴的です。
付属するストックは SIG MINIMALIST PLUS タイプとなります。通常のMINIMALISTに比べバットパッドが下に長くなっており、カービンとして安定した射撃フォームを取りやすくなっています。ダークアースモデルにはコヨーテカラーが、ブラックとグレーモデルにはブラックカラーが付属します。ロアレシーバー後端の縦型ピカティニーレールを利用して取付けるため、社外品のMCXストックに交換することも可能です。
Salvo Precision MCX SPEAR LT 11.5inch GBBR ガスブローバックライフル商品一覧
MCX SPEAR LT 10.5inch CSAW
実銃ネタの項目で紹介した MCX LT CSAW を再現したのがこちらのモデル。ガスブロの商品名として分かりやすくSPEARと入っていますが、 SPEAR LT の兄弟モデル、または派生元ではあるもののSPEAR(M7)との関連性は低そう。不明点の多いミステリアスさが、特殊部隊好きの心をそそる一挺です。
バレルレングスは10.5インチで、デルタフォースがCSAWを使用中と思われるミリフォトや動画から、ブラックが標準カラーと思われます。
SPEAR LT との分かりやすい違いはハンドガード。似てはいますが10.5インチバレルに合わせた長さやライトニングホールとM-LOKの配置に違いが見られます。またガスレギュレーターの位置も異なるため、CSAWハンドガードには調整用ホールがないのも特徴です。
レシーバーは一見すると SPEAR LT と共通ですが、実はMCX LTにはアンビボルトリリースレバーがありません。後発となる SPEAR LT で追加となった機能になります。また、トリガーはスタンダードなラウンド形状になっています。
付属するストックは SPEAR LT と同じ SIG MINIMALIST PLUS タイプです。完璧なデルタフォース仕様に仕上げるなら、M4フォールディングストックアダプターとCTRタイプ ストックを組み合わせるのがオススメ。
Salvo Precision MCX SPEAR LT 10.5inch CSAW GBBR ガスブローバックライフル商品一覧
SALVO PRECISION MCX SPEAR LT ガスブロについては、ORGA AIRSOFTにて内部パーツや性能面についても検証中です。試射レベルでは動作性も良く、箱出しでもサバゲーの相棒として活躍してくれそう。ORGAパーツを組込んでみての性能変化や、より中身をブラッシュアップさせる方法についても、追って解説できればと思います!