GHK M4 カスタム の始め方
必須パーツと注意点を解説 後編
前回までの「前編」では GHK M4 の魅力についてお話致しました。後編では「運用面」について触れていきたいと思います。
M-LOKやKEYMODなど規格の選び方
ハンドガードを選ぶ際に必ず直面するのが、「M-LOK」と「KeyMod」という2つの主要なアクセサリー取り付け規格です。 どちらも従来のピカティニーレール(20mmレール)に比べて軽量でスリムさが特徴です。M-LOKはMagpul社が開発した規格で、現在最も主流となっています。
アクセサリーの着脱が容易で、固定力も高いとされています。 一方、KeyModはVltor社とNoveske社が共同開発した規格で、鍵穴のような形状のスロットが特徴です。どちらの規格も一長一短がありますが、現在ではM-LOK対応のアクセサリーが市場に多く流通している傾向にあります。 自分が使いたいフォアグリップやライト、スリングマウントなどがどちらの規格に対応しているかを確認してからハンドガードを選ぶことが重要です。
GHK M4 のデザインテーマに合わせたチャージングハンドルやトリガー
チャージングハンドルやトリガー、セレクター、マガジンキャッチといった操作系の小物は、銃全体の印象を決定づけるアクセントとなるパーツです。 例えば、左右どちらからでも操作できるアンビタイプのチャージングハンドルは、操作性を向上させるだけでなく、見た目にもカスタム感を演出できます。 Radian Weapons社のRaptorタイプやGeissele社のACHタイプなどが人気です。
トリガーも、ストレートタイプやカーブタイプなど形状によって引き心地が異なり、デザインの好みで選ぶことができます。 これらの細かいパーツを、自分が目指すカスタムの方向性(例:特殊部隊仕様、民間ARカスタム風など)に合わせて統一感を持たせることで、より完成度の高い一丁に仕上げることが可能です。
GHK M4 ガスブロ の内部カスタム必須パーツ
GHK M4 は箱出しの状態でも高い性能を誇りますが、内部パーツを交換することで、作動の安定性、命中精度、そしてガスブローバックならではのリコイルショックをさらに向上させることが可能です。ここでは、性能向上に直結する必須の内部カスタムパーツを4つのカテゴリーに分けて詳しく解説します。
作動安定性の鍵 ローディングノズル
GHK M4の心臓部とも言えるボルトキャリアアッセンブリーの1つでもあり重要なのは、BB弾をチャンバーに送り込み、発射ガスを効率よく利用するための重要なパーツが「ローディングノズル」です。純正のローディングノズルは樹脂製で、長期間の使用やCO2マガジンのような高圧ガスでの運用により、摩耗や破損が起こりやすいパーツの一つです。そのため、作動の安定性を長期的に維持するためには、より耐久性の高い社外製の強化パーツへの交換が推奨されます。
社外製のローディングノズルには、強化樹脂製やアルミ削り出しのものなど、様々な材質の製品が存在します。オルガエアソフトでは古くよりRA-TECH社からリリースされているNPAS(Negative Pressure Adjustment System)搭載のローディングノズルを推奨してきており、GHKをはじめ、古くは WA(ウェスタンアームズ)、Inokatsu、We-TECH、VFC M4ガスブロなどで多くの個体に組込みを行ってきた実績のあるパーツです。 NPASはノズル内部のバルブを調整することで、BB弾の発射に使われるガス量とブローバック作動に使われるガス量の配分を変更できる画期的なシステムです。これにより、使用するガスの種類や気温、BB弾の重量に合わせて初速を細かく調整することが可能となり、年間を通じて安定したパフォーマンスを発揮させることができます。 耐久性向上と初速調整機能を両立できるため、GHK M4の内部カスタムを始める上で、まず検討したいパーツと言えるでしょう。
GHK M4 命中精度アップの要 ホップパッキンとインナーバレル
サバイバルゲームでの実用性を高める上で、命中精度の向上は避けて通れないカスタムです。その中心となるのが、BB弾に適切な回転を与えて弾道を安定させる「ホップパッキン」と、BB弾が加速するための通り道となる「インナーバレル」です。
インナーバレルは、その内径や材質、表面の仕上げ精度が命中精度に影響を与えます。一般的に内径がタイトなもの(例:6.03mm)は初速が上がりやすく、ルーズなもの(例:6.23mm)は弾道を安定させやすいと言われていますが、オルガエアソフトとしては、タイトなインナーバレルは推奨していません。最低でも内径6.08mm設計以上のバレルをおすすめしております。
なぜオルガは内径6.08mm以上を薦めるのか?
もうご存じの通り、オルガエアソフトはインナーバレルの内径を6.10mmや6.13mm、6.23mmなど「ワイドボア」の製品を先駆け的に生産してきました。電動ガンの世界では内径6.23mmのバレルを使い、高いコンプレッション(エア量)で発射をする 流速チューンの先駆者でもあります。なぜタイトではダメなのか?ということですが
1.タイトバレルは内径が狭すぎる
タイトバレルの特徴は「小さな力=エア量」でも初速を高くできるが、内径が狭いことで、BB弾との干渉が大きすぎる。BB弾の成型精度(インナーバレルの生産時の引抜精度も同じ)が高ければ良いが、何れかの成型に不備がある場合、バレル管内との接触によりBB弾に不自然な回転を与えてしまい、集弾性が極端に低下する。
2.集弾性 = 命中精度が低すぎる
「小さな力=エア量」で発射することができてしまう為「BB弾が前進しようとする力 = 直進運動」が非常に弱く、集弾性が極端に低下する。
という2点になります。「たった2点か」と思う方もいらっしゃると思いますが、エアガンの性能面を考慮した場合「この2点」が最重要項目だと思います。この2点を蔑ろにすることによって起こることは「弾が当たらない」「弾が異常に散る」「弾が詰まる」の3点です。これではゲームユースで使うことができません。
ワイドボアのオルガバレルの効果は?
オルガでは、電動ガンでもガスブロでもボルトアクションでもBB弾を発射する上でノーマルの範疇以上のエアコンプレッションは高く設定することを推奨しています(内部はノーマル系を好むユーザーさんはこの限りではありません) 理由は上記の「BB弾の直進運動の持続時間を向上させる」為です。
車の話に例えますが、仮に交通事故があったと仮定します。
時速40Kmで走行する車が衝突事故を起こしました。
以下のAとBでは障害物に対する衝撃が大きいのはどちらだと思いますか?
何れも衝突時の車の速度は40kmです。
A)衝突手前10mで障害物に気づきブレーキを掛けて衝突した。
B) 障害物に気が付かずアクセル踏み続け障害物に衝突した。
答えはBです(障害物に対する衝撃が大きい)
発射されるBB弾も同じことなんです。
「小さな力=エア量少」よりも「大きな力=エア量大 又は コンプレッションパワーが強い」方が、発射されるBB弾の直進運動性能は持続し、集弾性と命中精度に歴然とした差が生まれます。ただ1点問題なのは「初速設定」です。コンプレッションパワーを上げるということは、電動ガンで言えば 強いスプリングを使いピストンパワーを上げる、ガスブロの場合は、CO2マガジンなどを用いガスの流量を上げる、この2点の方法となります。ですが、この場合、初速が大幅に高く出てしまいます。
そこでオルガエアソフトのMagnusバレルが必要となります。
発射される球体(BB弾)は、筒の中(インナーバレル)を通る際、その筒が長い方が加速する傾向になります。仮に電動ガンで説明をすると、強いスプリングを用いバレル長363mm(14.5インチM4 標準長)で発射した場合、初速オーバーとなります。このオーバーした初速分を内径の広い Magnusバレル に交換することで BB弾の運動エネルギーを低下させることなく初速を下げることができます。更に、インナーバレルをカット(363mmから215mmへ等)することで、更に初速を調整することができます。
一般的に、この手法を「流速チューン」と呼びます。
サバイバルゲームで、相手の弾はこっちに届いているのに、自分の弾は全然届いてない なんてこと感じたことありませんか?多分、その相手はオルガカスタムのユーザーさんだと思います(笑
オルガバレルの入手について
オルガのインナーバレルは、電動ガン用、ボルトアクション用、ガスブロ用、トレポン用と販売しております。GHK用については、一般販売はしておりませんので、GHKカスタム依頼を頂いた場合のみ提供させて頂いております。
その他のインナーバレルは以下よりご欄ください。
● Magnusバレル(内径6.23mm)電動ガン用 本店掲載分 / 楽天店掲載分
● Magnusバレル(内径6.23mm)WEガスブロ用 本店掲載分 / 楽天店掲載分
● Magnusバレル(内径6.23mm)VFCガスブロ用 本店掲載分 / 楽天店掲載分
● Magnusバレル(内径6.23mm)トレポン用 本店掲載分 / 楽天店掲載分
チャンバー周りのカスタムで弾道を安定させる
ホップパッキンとインナーバレルを保持し、BB弾の給弾を確実に行うためのパーツが「チャンバー」です。GHK M4の純正チャンバーは樹脂製で、長期的な使用による歪みや、ホップ調整の安定性に課題が残る場合があります。 そこで、より高精度な社外製のチャンバーに交換することで、気密性を高め、ホップアップシステム全体の剛性を向上させることができます。
オルガエアソフトでは T-N.T. APS-X CNCホップアップチャンバーキットと GHK用 Magnusバレル を用い追加工を施したアップグレードサービスとなっております。
GHK M4 リコイルを強化するボルトキャリアとバッファー
ガスブローバックライフルの最大の魅力である、射撃時の強烈なリコイルショック。GHK M4はこのリコイルが強いことで定評がありますが、内部パーツの交換によってさらにその迫力を増すことが可能です。リコイルの強さに影響を与える主要なパーツは、「ボルトキャリア」と「リコイルバッファー」です。
GHK M4の純正ボルトキャリアはスチール製で十分な重量がありますが、より重量のあるスチール製ボルトキャリアに交換することで、さらに重く鋭いリコイルを発生させることができます。逆に、軽量なアルミ製ボルトキャリアと軽量バッファーを組み合わせたハイサイクルキット もあり、こちらはリコイルを犠牲にする代わりに、連射サイクルを向上させたい場合に選択されます。
ストックチューブ内に収められているリコイルバッファーも、リコイルの質を変化させる重要な要素です。純正よりも重いヘビーウェイトバッファーに交換することで、ボルトキャリアの後退スピードはやや遅くなりますが、「ガツン」と肩に来る重いリコイル感を演出できます。 また、リコイルスプリングのレート(硬さ)を調整することでも、ボルトキャリアの作動スピードやリコイルのフィーリングを好みに合わせて変更することが可能です。重量のあるボルトキャリアやバッファーは、より多くのガスを消費する傾向にあるため、燃費とのバランスを考慮しながらパーツ選定を行うことが重要です。
CO2マガジン化という選択肢とその注意点
GHK M4ガスブローバックのカスタムを突き詰めていくと、フロンガスよりも高圧なCO2(炭酸ガス)をパワーソースとする「CO2化」という選択肢が視野に入ってきます。CO2化は、特にサバイバルゲームでの実用性を重視するユーザーにとって、季節を問わない安定した作動性能という大きなメリットをもたらします。しかし、その高いポテンシャルと引き換えに、CO2ならではのパワーがありますので、上記の通り、オルガが推奨する RATECHのNAPSノズルの実装が必須となります。
● RATECH NPASノズル 本店掲載分 / 楽天店掲載分
年を通じて安定した作動が出来るCO2マガジン
フロンガスは、気化熱によって冷えやすい性質を持つため、特に気温の低い冬場や、連射によってマガジンが冷えると、ガスの気化効率が低下し、ブローバックの勢いが弱まったり、弾道が不安定になったりします。これに対し、CO2は外気温の影響を受けにくく、低温環境下でも安定した圧力を維持できる特性があり、安定したパワフルな作動と鋭いリコイルショックを体感でき、通年を通し自身が設定した性能で運用することができるメリットがあります。
一方で、CO2はフロンガスに比べて圧力が非常に高いため、銃本体への負荷が格段に増大します。 特にボルトキャリアやレシーバーには大きな衝撃がかかり破損のリスクが高まりますので、メンテナンス時にレシーバーやボルトの摩耗等もチェックすることをお勧めいたします。