人気メーカーなのにエアガンではレア?GEISSELE Super Duty
トリガーやハンドガードで著名なGEISSELE AUTOMATICS(ガイズリー・オートマティクス)は、エアソフトのレプリカパーツとしても人気が高く、サバイバルゲームに参加すれば必ずと言っていいほどユーザーを見つけられます。その反面、同社のAR-15コンプリートライフルであるSuper Dutyは完成品エアガンとして大手メーカーから製品化された例は聞いたことが無く、ショップや個人でカスタム品として製作例があるのみ。ガイズリーの知名度の割にはレアな存在です。

▲GEISSELEパーツを多用したM4A1の製作例。しかしレシーバーは…
Super Dutyは知られている様で、その実、モデルアップ例が少ない理由はいくつか考えられます。
- 実態の分かりにくいモデル名(刻印)
- ミリタリーモデルに集まりやすい人気
- 完全再現が厳しいコンプリートと単体パーツの設計差
などなど
しかしSuper Dutyの誕生は、ガイズリーが広くパーツ開発可能となった事の結果であり、それに伴い丸々1本の軍用小銃の納入を果たすなど、知れば知るほど魅力に溢れたライフルなのです。
この記事ではそんなSuper Dutyに焦点を当て、関連するエアガンパーツについてもご紹介していきたいと思います。
GEISSELE Super Dutyとは?
ガイズリーは2004年の創業当時、トリガーを専門とする個人経営の小さなガレージメーカーでした。しかし、高い機能性と製作精度でアメリカ軍から信頼を得ると会社は瞬く間に急成長。2019年には自社製ライフルの製造・販売も出来るまでに事業を拡大し、自社初のコンプリートライフル(完成品)「Super Duty」を発表するに至ります。
出典:GEISSELE AUTOMATICS Facebook
ガイズリーはCOLTやS&Wの様な長い歴史もなければ、SIG SAUERの様に巨大企業を母体とする訳でもなく、DANIEL DEFENSEやNOVESKEと同じ様な沿革を持つ叩き上げのメーカーです。
職人の腕1本で認められたメーカーよろしく、そういったライフルは往々にして性能や信頼性が高い場合が多いもの。巨大企業の量産ライフルとは一線を画す存在として、各組織の特殊部隊用途などに採用される例も少なくありません。
その性能を引き継いだ民間向けモデルもまた、プロシューターなど性能を求めるユーザーに愛用され、メーカーの名を更に高めます。まだまだ歴史は浅いながらも、GEISSELE Super Dutyも正にそのようにして磨かれてきたライフルの1つと言って良いでしょう。
プロトタイプの存在
ガイズリーは、Super Dutyの開発以前からハンドガードやバレルなど様々なAR-15パーツを世に送り出してきましたが、ある時から自社パーツをGA-15やGA-M4と刻印されたライフルに装着して発表するようになります。恐らくはこれがSuper Dutyのプロトタイプであり、近いうちにガイズリーのコンプリートライフルが発売されることも示唆されるようになります。

▲GA-M4と刻印されたレシーバーに装着した状態で発表されたMaritimeボルトキャッチ 出典:Defense Review
そしてSuper Duty発表時のプロトタイプにも「GA-15」のモデル名が刻まれました。プロトタイプには分かりやすいシリアルナンバーが振られていたものの、「Super Duty」ロゴがデカデカと刻まれているためGA-15が正式なモデル名であると勘違いしそうになります。
しかし、製品版にはセミオートモデルにSD-556、フルオートモデルにGA-M4の名が与えられます。エアガンに刻印を入れて再現する際には気を付けたいポイントですね。
出典:GEISSELE AUTOMATICS Facebook
URGIとの違い
ガイズリーと言えばアッパーレシーバーグループとしてアメリカ陸軍特殊部隊を中心に採用されたURGIも有名です。URGIにはガイズリーが開発したSMR MK16 ハンドガードとACHチャージングハンドルが採用されています。
MK16の存在感が大きく、GEISSELEもこれを大々的にPRしたためURGIはガイズリーの製作と思ってしまいそうですが、アッパー、バレル、ガスブロックはダニエル・ディフェンスが採用されており、実際にはダニエル社主導のものであったと推測されます。
出典:DVIDS:Photo by Staff Sgt. William Frye:Alabama National Guard
ガイズリーは同時期に自社製バレル開発も行っておりURGIを全て自社製とする目標もあったのではと思われますが、冷間鍛造マシンを導入した直後で間に合わなかったのかもしれません。しかし、その後急ピッチで進んだバレル開発は見事に高い射撃精度を出すことに成功。Super Dutyを自社製コンプリートライフルとして発表する際の1つのセールスポイントになりました。
Super Dutyは、URGIで果たせなかったALLガイズリー製を果たしたライフルでもあるのです。
また、Super DutyはURGIと同じSMR MK16ハンドガードを採用し、URGIでの実績を存分に活用したビルドになっています。ただしSuper Dutyのハンドガードには、URGIに組まれたものや単体販売のSMR MK16と微妙に違う点が見られます。
それは回転防止策で設けられた突起位置です。通常のSMR MK16は汎用的なAR-15に装着できる様、アッパーレシーバーのトップレール下部とピボットピン上部を左右から挟み込む位置に突起が設けられています。
対してSuper Dutyではそれらを廃し、代わりにトップレール上面後端に突起を設け、アッパー側にも凹型の受けを作り回転止めとしています。コンプリートライフルならではの専用設計としているのが特長です。
左がSuper Duty、右がURGI。M-LOKスロットの位置なども微妙に異なる。 出典:GEISSELE AUTOMATICS Instagram
URGIのMK16回転止め機構出典:GEISSELE AUTOMATICS Facebook
Super Dutyの回転止め機構 出典:GEISSELE AUTOMATICS Facebook
Super Dutyがもたらした功績
Super Dutyは発表と同時にLEモデルも展開するなど、プロオペレーター向けでもあること強調していました。そうした中で磨かれた設計・製造技術を元に、2022年にはアメリカ国防省のコンバット・ライフル・プログラム参加のため開発したGFR(GEISSELE Freedom Rifle)を発表します。
またGFRと同時期の開発と思われる6.5mmクリードモア弾仕様がMRGG-Sとして国防省との契約を勝ち取り、MRGGというAR-10相当のライフルを発表します。
GFRベースのRECCEについては米海軍が調達をはじめたとする情報もありましたが、GEISSELEのホームページを見る限りその後の運用については不明瞭です。しかしMRGGについてはUSSOCOMで採用となった様で、2024年に開かれたUSASOC(アメリカ陸軍特殊作戦コマンド)のインターナショナル・スナイパー・コンペティションでもその姿が確認されました。
出典:DVIDS:Photo by K. Kassens:United States Army John F. Kennedy Special Warfare Center and School)
GFRもMRGGもSuper Dutyとは口径が異なるし関係がない様にも見えます。しかし、GEISSELEはこの時期特殊部隊向けのアサルトライフル開発を行っていたとする情報もあり、それらの技術がGFRやMRGGにも活かされている可能性が大いにあります。(逆のパターンも有り得ますが…)
どちらにしても、Super Dutyを皮切りにガイズリーのライフル開発がより積極的に進められるようになったのは事実で、ただの民間ライフルと捨て置けないモデルなのです。
民間仕様はMOD1へと進化?
2025年現在、民間仕様のSuper DutyはMOD1の名を冠し、フラッグシップライフルとして引き続きガイズリーの顔となっています。発表当時がODグリーンやグレーを含む4カラー展開でしたが徐々にカラーが減り、MOD1以降はブラックとDDC(デザートダートカラー)の2カラーになっています。ODグリーンは中々個性的で良かったんですがね~。人気が無かったのでしょうか?
初期型とMOD1の分かりやすい違いはハンドガードのQDスリングスイベルソケットの強化やグリップの角度変更、フラッシュハイダーの変更など。Super Dutyプラットフォームとしての進化は初期モデルの時点から随時行われており、カラー展開の整理や前述した分かりやすいパーツの変更など、別モデルになったというよりは区切りとしてMOD1と付ける様になった感があります。
民間系AR-15としては他メーカーに比べ後発ということもありますが、Super Dutyはガイズリーの技術開発の礎となり、それらを反映したモデルでもあるという点に浪漫を感じずにはいられません。
GEISSELEタイプのハンドガードはサバゲーにおいても非常に人気がありますし、Super Duty刻印のエアガンレシーバーももっと増えればいいのに!と個人的にヤキモキしてしまいます…。
GEISSELEのエアソフト製品展開
MWS用80%レシーバー
ガイズリーはURGIの他にも過去、HK416CAGやFBI HRTライフルなど注目を浴びる機会が度々あり、サバゲープレイヤーにとって話題に事欠かない存在です。特にハンドガードについては絶大な人気を誇ります。先ほども言いましたが、Super Duty刻印のAR-15レシーバーも選択肢としてあるべき!というのが筆者の想い!
そこで、現在ORGAで販売中の東京マルイMWS用80%レシーバーにも、ラインナップをご用意しております!
鍛造 A7075 80%レシーバーベース 東京マルイMWS用 完成品レシーバー GEISSELE Super Duty BK

2025年10月現在、即納可能な完成品はSD-556のブラックのみとなりますが、無垢レシーバーと施工メニューのご注文でDDCやOD GREENカラーにしたり、フルオート仕様のGA-M4刻印にしたりといった個別注文も可能です。
また、商品有りきでMWS用80%レシーバーを推しましたが、デフォルトでSuper Duty刻印の製品が少ない以上、MWS以外のガスブロや電動ガン、トレポン等でも再現するなら同じように無垢レシーバーを使用して刻印するのが有効な手段となります。各カテゴリのエアガンでもSuper Duty刻印を再現したい場合は、(レシーバーはご用意頂く必要がありますが…)お問い合わせよりお気軽にご相談頂ければと思います。
GEISSELE REBCG刻印 スチールボルトキャリア
上記Super Dutyレシーバーに併用して頂くパーツとしてオススメなのがGEISSELE刻印のORGAスチールボルトキャリアです。メーカーロゴとREBCG(Reliability Enhanced Bolt Carrier Group)のテキストのみというシンプルな刻印ですが、Super Dutyとの組み合わせで醸し出される雰囲気はカッコ良いの一言。
素材の面でも、ブローバック時に響く金属音が所有感を満たす、ベストなチョイスと言えます。
その他のGEISSELEオススメ パーツ
GEISSELEと言えばトリガー
ガイズリーはトリガー製造からスタートしたメーカーですので、Super Dutyのセットアップにトリガーのカスタムは欠かせないでしょう。実銃とは違い、エアガンのトリガーカスタムは見た目の違いがメインとはなりますが、東京マルイMWSの場合は素材をスチール化するだけで耐久性やフィーリングの改善が可能です。
また、MWSではトリガーボックスごと交換できるアセンブリもありますが、GEISSELEトリガーを再現した製品もございます。
東京マルイMWS用 GEISSELEタイプトリガーボックス一覧

その他、GHKガスブロやトレポンでもGEISSELEタイプのトリガーは人気で、トリガーと指が接触する面のRの付け方で何パターンかのモデルが存在します。
Super DutyはSMR MK16ハンドガー一択!…でもない?
Super Dutyは基本的にSMR MK16ハンドガードが装着されます。但し、2019年に同時発表されたLEモデルの様に、別のハンドガードが装着される例も少なからずあります。
ガイズリーは公的機関のオペレーターに対しては寄付プログラムを用意するなど奉仕的な哲学を持っており、アームズマガジン・ウェブによれば、一般には販売されないはずのプロトタイプと同じGA-15の名を持つSuper Dutyを組み上げた実例もあるようです。そのGA-15にはGEISSELE SMR MK4 FEDERALが装着されています。
また、Super Dutyレシーバー単体販売では専用の回転止めの受け部がありません。これらの事実から、Super DutyのハンドガードはSMR MK16に拘らなくても良いということが解ります。
実際のところAR-15対応パーツであれば何を付けても間違いではないのですが、刻印のマッチングを考えるとガイズリーや関連メーカーのALG DEFENSEタイプのハンドガードを組み合わせるのが良さそうではあります。MK16であることにコダワリ過ぎる必要はないのかな~と、個人的には思います。
チャージングハンドル
ガイズリーと言えばチャージングハンドルも外せませんね。数年前までは民間系アンビチャージングハンドルはRADIAN RAPTORがOEMで席巻し(ガイズリーも多聞に漏れず…)ていましたが、ガイズリーがSCH(Super Charging Handle)を発売すると勢力図が一変。
特に、小型ラッチハンドルのACH(Airborne Charging Handle)がURGIで採用されてからはガイズリーがOEM元になる例も見られるようになりました。また、ガイズリーと同じ様に自社オリジナルのラッチハンドル形状をリリースするメーカーも徐々に増えてきました。
ガスブロック
1社でコンプリートライフルを作れるだけあって、パーツ毎に紹介すると項目が多いですね💦ハンドガードに隠れ目立たないパーツではありますが、ガスブロックもまたガイズリーを象徴するパーツの1つです。
というのも、他メーカーではロープロファイルで近しい形状が多い中、ガイズリーは横方向に貫通させるピンや位置決めを行うダボピンなど、気の利いた設計が見て取れます。
シルバーのカラーリングを選べるのも、ハンドガードの隙間から見えるワンポイントになってカッコ良いです。
左が実物。右はGuns Modify製レプリカ 出典:GEISSELE AUTOMATICS Facebook
グリップ
Super Dutyの発表時から数年間はA2グリップやB5 Systemsなど汎用的なパーツを使用していたピストルグリップですが、近年ではトレンドを取り入れ、角度の立った自社製グリップを採用しています。
エアガン用レプリカでは角度的にモーターが入らないため、ガスブロ用グリップのみリリースされています。
マウント
Super Dutyとは直接関係ありませんが、ガイズリーと言えばドットサイトやスコープなど光学マウントも有名です。工作精度による信頼性の高さのほか、耐久性を維持しながら軽量さを追求した設計などミリタリーでの採用例も多く、現在では定番マウントの地位を築いています。
まとめ
GEISSELE Super Dutyや関連パーツについてザーっと解説してきましたが、情報をまとめながら感じたのは、ガイズリーは同規模のメーカーに比べAR-15コンプリートへの参入が遅かったことがエアソフトでの「Super Duty」製品展開が遅い理由なのかなとも思いました。
満を持して登場したものの、サバゲープレーヤーにとってはパーツメーカーとしてのイメージが俄然として強く、またM4A1など既存レシーバーとの組み合わせでもOKなことが商品展開も遅い要因なのかもしれません。
しかし、今回ご紹介した通りSuper Dutyはガイズリー肝入りのライフルであり、その刻印入りのレシーバーはガンマニアにとって魅力的に映るのは確かでしょう。筆者も1人のGESSELE好きとして、本当は喉から手が出るほど欲しい…(80%レシーバーのご用意が少ないため諦めています🥲)
こういった「既存で製品化されていないもの」をご提案できるのもORGA AIRSOFTの強みかなとの想いで、今後もサバゲーマーの皆様に貢献していく所存です。



















