ブローニングM2(BROWNING M2)について

ブローニングM2(BROWNING M2)について
ブローニングM2(BROWNING M2)について
 

ブローニングM2について

ブローニングM2重機関銃とは、ジョン・ブローニングが第一次世界大戦末期に開発した重機関銃である。1933年にアメリカ軍に制式採用された重機関銃。信頼性や完成度の高さから現在でも世界各国で生産と配備が継続されている。汎用機銃の代表格として確固たる地位を築いている。

元々は第一次世界大戦の戦訓から、装甲目標や航空機の撃破を念頭に置いて開発された。1921年の採用から20年ほどの軍政的空白期を経て、第二次世界大戦で大量に発注。大戦中だけでも200万挺以上が生産され、当時のアメリカ製戦闘機や軍用車両の多くに搭載されていた。1982年のフォークランド紛争では、アルゼンチン軍が本銃にスコープを取り付け狙撃銃として用いていた。

ブローニングM2とは

ジョン・ブローニングが設計を手掛けて1918年に試作型が完成。戦時下だった為、M1918として仮制式化されたものの欠点が多く、改良を加えられてM1921となったが、それでも一部の欠点が是正できなかった。工学博士のスミス・グリーン大佐が根気よく本銃の欠点を改修し続けて、1933年にブローニングM2重機関銃が完成する。アメリカ軍では様々な銃架に載せられ陸・海・空軍を問わず広く配備された。歩兵でも3人で運搬でき、そのため「スリーメン・ウェポン」とも呼ばれる。簡単な部品交換だけで左右どちらからでも給弾できることでも、柔軟な運用を可能にした。アメリカ以外にも、採用した国は100ヶ国以上ある。最近開発が進んでいる遠隔操作の無人砲塔と組み合わせる定番装備でもある。

50口径と云う高威力のM2は「対物火器」として対人使用は自粛が求められているが、戦場ではお構いなしで頻繁に対人で使われている。朝鮮戦争やベトナム戦争等で大口径の狙撃銃として使われた例もあり、ベトナム戦争では世界三大スナイパーの1人で元アメリカ海兵隊兵士のカルロス・ハスコック1等軍曹がM2にスコープを取り付け、約2500ヤード(約2300m)先に潜んでいる北ベトナム兵を狙撃、この事が後にM82などの大口径アンチマテリアルライフルを生むきっかけとなった。1982年のフォークランド戦争でも陣地に籠もるアルゼンチン軍が装備するスコープ付きM2による狙撃に、質量共に優れるイギリス歩兵が多大な被害を受け、陣地1個1個に対してミラン対戦車ミサイルを撃ち込んで始末したとの逸話もある。高い火力と汎用性からテロリストにも重用され、武装集団が敵を建物の壁ごと貫通射撃して殲滅させたとの事例が多数報告されている。バレルの交換と再装填に時間がかかる為、1990年代にベルギーのFNHがこの問題点を解決するため改良を加えた、M2HB-QCB(M2A1)を開発した。

バリエーション

・AN/M2:航空機搭載型。M2を航空機に乗せるため改造したモデル。コックピットからの遠隔操作で発射できるようになっている電磁トリガー型がある。ベトナム戦争に入り、ヘリコプターなどにも搭載された。

・AN/M3:AN/M2の発展型。電気モーターを用いた補助機構で発射速度を強化している。

・GAU-15/A.GAU-16/A.GAU-18/A:AN/M2.AN/M3を基に軽量化されたヘリコプター搭載型。

・M3M/GAU-21:AN/M2を基にしたヘリ搭載型。FN社製。ヘリコプターの側面ドアに銃架と共に固定されており、安定性が上がっている。

M3P:AN/TWQ-1 アベンジャー防空システムに搭載するために開発された、FN社製のAN/M2の発展型。発射速度が950発/分と1,100発/分の選択式となり、銃口部に大型の筒形フラッシュハイダーが装着された。給弾方式は機械式のメタルループ方式となっている。

・12.7 Lkk/42 VKT:フィンランドでコピーされたM2。

・K6:韓国の統一重工業が老朽化したM2の代替に設計したコピー。銃身に把手を取り付けて、銃身交換を容易にしたもの。1989年から韓国軍に配備されている。

・BRG-15:FN社がM2の後継に提案した改造型。口径の大きい15.5x106mm弾を使用。

M85:ジェネラル・エレクトリック社がM2の後継としてM2の設計を発展させて開発した50口径重機関銃。まず車両搭載用として開発され、M60戦車とLVTP7水陸両用装甲車に搭載されたが、問題が多く、M2の後継とはならなかった。

・XM806:ジェネラル・ダイナミクス社がM2の後継として開発を行っていた50口径重機関銃、2012年に開発が中止された。

【日本軍での使用】

・ホ103:太平洋戦争では日本軍でも航空機関砲(固定式・旋回式)としてブローニング系機関銃やその改良型が大々的に使用された。陸軍は、M2重機関銃の航空機搭載型であるAN/M2(MG53-2)をベースとし、ブレダSAFAT 12.7mm重機関銃の実包(12.7x81mmSR)規格に変更し、独自の改良を施した、ホ103(一式十二・七粍固定機関砲)を採用し、一式戦「隼」を始めとする大半の陸軍戦闘機に装備した。

・ホ5:ホ103をベースに20mm弾(20x94mm)に対応するように拡大改良したホ5(二式二十粍固定機関砲)を開発採用、四式戦「疾風」を始め、太平洋戦争中期以降登場の多くの陸軍戦闘機が装備した。

・三式十三粍固定機銃:海軍でもM2をベースに、オチキス(保式)系である九三式十三粍重機関銃の銃身と13mm弾(13.2x99mm)を用いる三式十三粍固定機銃として採用したが、搭載機は大戦後期登場の零戦五二乙型以降の少数の海軍戦闘機のみに留まった。

この機関銃、人気番組トリビアの泉のコーナー、トリビアの種に「日本刀とマシンガンどっちが強いか?」という応募が寄せられた時、マシンガンの代表に選ばれた。ちなみにどちらが勝ったかと言うと、発射後7発目にM2が日本刀を真っ二つにへし折った。

ジョン・ブローニング

ジョン・モーゼス・ブローニング(John Moses Browning)は、アメリカ合衆国の銃器設計家である。