FBI人質救出チーム(HRT)は、1983年に創設された、FBIの対テロ作戦部隊です。この記事では、創設の背景と、隊員の選抜や装備を整理します。
FBI人質救出チームの要点まとめ
- 1983年に、FBIの対テロ作戦部隊として創設された
- 背景には、1972年のミュンヘンオリンピック事件がある
- 応募には、3年以上の現場勤務経験が必要
- 全隊員が、80時間以上の本格的な医療訓練を受ける
FBI 人質救出チーム(HRT)について
FBI人質救出チームが作られた背景
FBIでは1984年のロサンゼルスオリンピック開催に際する警備(対テロ作戦部隊)が問題となっていた。1972年に起きたミュンヘンオリンピック事件のような大惨事を、再び起こさない為に回避しなければならなかった。そこで作戦は軍の特殊部隊の任務であるとの意見が多く、支配的であった。
FBIは、1984年のロサンゼルスオリンピックの警備に備える必要がありました。そのため、ミュンヘンの惨事を繰り返さない対策が求められました。
FBIでは、1973年よりSWAT部隊 (FBI Special Weapons and Tactics Teams) の編成に着手していたが、任務は凶悪犯の検挙などに留められており、対テロ作戦に必要な訓練を受けていない事が明らかになった。
SWAT部隊は、1973年から編成が始まりました。ただし、任務は凶悪犯の検挙が中心で、対テロの訓練は不足していました。
ジョシュア・ジャンクション演習
1978年にアメリカ国内でのテロ事件を想定して行われたジョシュア・ジャンクション演習で、実際にはデルタフォースが突入作戦を行った。また、演習の際にデルタフォースが装備品に手錠なく、逮捕は任務ではない為、手錠は必要ないという考えであったという。
1978年の演習では、デルタフォースが突入作戦を担いました。つまり、国内のテロ対応は、軍に頼る形だったのです。
アメリカ合衆国では、民警団法(PCA)などの法的規制のために、平時における連邦軍の国内活動には制約が大きかった為、軍の特殊部隊の装備・訓練は軍事行動に重点を置いており、特に国内での治安出動には不適な部分が多かった。
民警団法は、平時の連邦軍の国内活動を制限する法律です。そのため、軍の特殊部隊は、国内の治安出動に向かない面がありました。
このような事から文民警察の対テロ作戦部隊の必要性を考え、デモンストレーションが行われた。
SOARSの演習とFBI人質救出チームの創設
先にデルタフォースとSEALsチーム6の対テロ演習。その後にFBIのSOARS(訓練部の特殊作戦・研究課Special Operations and Research Staff)の演習を行った。軍の特殊部隊は持てる限りの武力を行使しており、裁判所に持ち込むには不都合な部分が多かったのに対し、SOARSのFBI捜査官は、射撃は最低限に留めて武装したテロリストのみを排除しており、不必要な流血は回避されていた。その違いは一見して明らかであり、文民警察官による対テロ作戦部隊というコンセプトは受け入れられるようになった。
FBIのSOARSは、射撃を最小限にして、武装したテロリストだけを排除しました。そのため、文民警察による部隊の考えが、受け入れられました。
そしてFBIの対テロ作戦部隊として、1983年に創設されたのがHRTである。
HRTは、こうした経緯で、1983年に生まれた部隊です。なお、この記事は、2018年12月の掲載時点の内容です。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1972年 | ミュンヘンオリンピック事件 |
| 1973年 | FBIがSWAT部隊の編成に着手 |
| 1978年 | ジョシュア・ジャンクション演習 |
| 1983年 | HRTが創設される |
| 1984年 | ロサンゼルスオリンピックの開催 |
HRT隊員
HRTへの応募には、3年以上の現場勤務経験と優秀な業績評価が必要となる。
FBI人質救出チームに応募するには、3年以上の現場勤務経験と、優秀な業績評価が必要です。そのため、応募の門は狭いといえます。
2週間の選抜課程は極めて過酷である。
新隊員訓練所(New Operator Training School, NOTS)では、2週間にわたる拳銃射撃術を皮切りに、5ヶ月に渡る訓練を受ける 。これに加えて、狙撃手は、アメリカ海兵隊の前哨狙撃兵訓練所で2ヶ月に渡る訓練を受ける。
NOTSは、新隊員訓練所の略称です。また、狙撃手は、海兵隊の前哨狙撃兵訓練所でも、2ヶ月の訓練を受けます。
専従の医療要員および救急車のほか、全隊員が80時間以上の本格的な医療訓練。
HRTでは、「人命を守るために」というモットーを導入しており、これに際し本格的な医療訓練が実施されている。
医療訓練は、「人命を守るために」というモットーに基づいています。そのため、全隊員が80時間以上の訓練を受けます。
FBI人質救出チームと他部隊の協力訓練
訓練課程の策定にあたってはデルタフォースやSEALsチーム6が全面的に協力している。、特にデルタフォースは自らの訓練施設を4週間に渡ってFBI捜査官に開放。
またSOARSは他国の同種部隊との伝手を利用して、西ドイツのGSG-9やフランスの国家憲兵隊治安介入部隊(GIGN)、イギリス陸軍の特殊空挺部隊(SAS)とも積極的に共同訓練を行った。
デルタフォースは、4週間にわたり、自らの訓練施設をFBI捜査官に開放しました。また、GSG-9やGIGN、SASとも共同訓練が行われました。
装備
HRTは原則的に独立行動能力を備えるように求められている。
(出動時)
FBI人質救出チームは、原則として、独立して行動できる能力を求められます。そのため、出動時の装備も、自前でそろえる形です。
食料・医薬品・武器・弾薬・車両・発電機や通信機器・資材・機材。
出動時装備はC-141輸送機1機に収まるように、個人装備はタクティカル・バッグ1個。
MD 530「リトル・バード」などのヘリコプター。
LAV-25歩兵戦闘車。
必要に応じてCIRGが運用する固定翼機の支援も受けることができる。
| 装備 | 内容 |
|---|---|
| 出動時装備 | C-141輸送機1機に収まる量 |
| 個人装備 | タクティカル・バッグ1個 |
| ヘリコプター | MD 530「リトル・バード」など |
| 車両 | LAV-25歩兵戦闘車 |
| 航空支援 | 必要に応じて、CIRGの固定翼機 |
FBI人質救出チームに関するよくある質問(Q&A)
Q. FBI人質救出チーム(HRT)とは何ですか?
1983年に創設された、FBIの対テロ作戦部隊です。また、人質の救出などを担う部隊として知られます。
Q. FBI人質救出チームはなぜ作られたのですか?
オリンピックの警備に備え、文民警察による対テロ部隊が必要とされたためです。
Q. FBI人質救出チームに応募するための条件は何ですか?
3年以上の現場勤務経験と、優秀な業績評価が必要です。また、2週間の選抜課程があります。
Q. HRTの訓練はどのくらいの期間ですか?
新隊員訓練所で、5ヶ月の訓練を受けます。また、狙撃手は、さらに2ヶ月の訓練を受けます。
Q. HRTは、なぜ医療訓練を重視するのですか?
「人命を守るために」というモットーがあるためです。そのため、全隊員が医療訓練を受けます。
Q. HRTの訓練には、どの部隊が協力しましたか?
デルタフォースとSEALsチーム6が、全面的に協力しました。また、GSG-9やGIGN、SASとも共同訓練を行いました。
Q. HRTの出動時の装備には、何がありますか?
C-141輸送機1機に収まる装備と、個人用のタクティカル・バッグ1個です。また、ヘリや車両も使います。
Q. HRTとSWAT部隊は、何が違いますか?
SWAT部隊は、凶悪犯の検挙が中心でした。一方、HRTは、対テロ作戦のために創設されました。







