L96は、イギリス軍が制式採用したボルトアクション式の狙撃銃を元にした名称です。この記事では、東京マルイのエアガンでも人気のL96を扱います。実銃の成り立ち、派生型、各国での使用状況を整理します。
L96の要点まとめ
- L96の原型は、アキュラシー・インターナショナル社のPM(Precision Marksman)ライフル
- イギリス軍のトライアルで最も命中精度が高いと評価され、L96A1として制式採用
- 寒冷地向けのAWはL118A1、.338ラプアマグナム仕様はL115A3として採用
- スウェーデン、オーストラリア、ドイツなど、多くの国で使われている
L96について
東京マルイからスナイパーライフルエアガンとして販売され、サバゲーでも人気の高いL96だが、モデルとなるL96A1はイギリス軍で制式採用されているボルトアクション方式の狙撃銃である。
L96の元になったPMライフルは、1982年に設計されたとされています。また、AWはその翌年の1983年に続きました。ただし、年は資料によって異なる場合があります。
当初は、PM(Precision MarksmanあるいはPrecision Magazine)ライフルという名称で、アキュラシー・インターナショナル社で開発された。その後イギリス軍での狙撃銃トライアルに見事勝ち残りL96A1の名で制式採用ライフルとなった。さらにスウェーデンでのトライアルにも対応するためAW(Arctic Warfare)ライフルという形で改良も施されている。
トライアルには、パーカーヘイルM85やHK PSG1も参加しました。そのため、L96は競合の多い中で選ばれた銃といえます。例えば、レミントン700は今も広く知られた存在です。
イギリス軍のトライアルで選ばれたL96
トライアルでは、その他のイギリス製狙撃銃や外国製の狙撃銃とも比較されたが、最も命中精度が高いと評価され、シュミット&ベンター社製の6×42スコープとともに、イギリス軍の制式採用狙撃銃に選定されることになった。
L96が評価された理由は、命中精度です。さらに、スコープも含めて選定された点も見逃せません。つまり、銃単体ではなく、システムとして採用されたことになります。
L96の特徴は、構造と交換性にあります。ここからは、その中身を順に見ていきます。
L96の特徴など
基本的なメカニズムはボルトアクション式のライフルで、弾薬は脱着式のマガジンに最大で10発まで装填可能。ボルトアクション式小銃では珍しいストレート・ストックの特徴は、底が平らなフラットボトムアクションを4本のボルトでアルミニウム合金のフレームに固定すると共に、エポキシ系接着剤で接着していることである。これは設計当時最先端のベンチレスト競技用ライフルの製作法を取り入れたものである。
マガジンはM700等で見られる内蔵型マガジンではなく、取り外し可能な箱型マガジンを採用している。銃本体を固定するバイスと工具さえあればバレルが簡単に交換が出来る構造になっている。
L96のバイポッドとアクセサリー
バイポッドはフレーム先端にロッド状のバイポッド・マウントを取り付けることでバイポッドが装着可能。別途、先端下部にはハリスバイポッド用の金具が取り付けられ、汎用のバイポッド金具用のスロットも搭載されている。バイポッド・マウントはナイトビジョンといったアクセサリ用レールの取り付け部としても利用されており、L96のドイツ軍仕様のG22等で装着しているのを見ることも出来る。
L96のボルトは、曲がったボルトハンドルが特徴です。また、ボルトの回転角が小さく、操作しやすい設計とされています。そのため、次弾の装填を素早く行えます。
写真のL96は、フレームの先端に伸びるバイポッド周りが見どころです。なお、実銃ではここにアクセサリー用のレールも装着できます。
L96には、用途ごとに多くのバリエーションがあります。まずは名称と役割の関係を、下の表で整理します。
| 呼称 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| PM | L96の原型。本来の「L96A1」 | AWシリーズの根幹 |
| AW | 寒冷地対応のモデル | イギリス採用名はL118A1 |
| AWP | 警察向けの24インチバレル仕様 | 現行のAEライフルが該当 |
| AWM | マグナム弾対応のモデル | L115A1、L115A3として採用 |
| AWF | AWのストックを折りたたみ式にしたモデル | フォールディング |
| AWS | サイレンサー内臓バレルを装着したモデル | サプレッスド |
| AW50 | 50口径仕様の対物狙撃銃 | AWを再設計 |
バリエーションなど
アキュラシー・インターナショナルは、PMライフルを元に色んなバリエーションを開発。
・PMライフル:AWシリーズの根幹ともなった銃。こちらが本来の「L96A1」
AWライフルとL118A1
・AWライフル:寒冷地での使用を想定し、マイナス40度の環境でも動作できるように寒冷地対応補修を施した。こちらをL96A1と呼ぶ人も多いが、イギリスでの採用名は「L118A1」となっている。
・AWP(police):AWを警察向けに24インチバレルにサイズ変更を施したバージョン。現行の「AEライフル」シリーズがこれに該当する。
・AWM(magnum):AWを7mmレミントンマグナム、300ウィンチェスターマグナム、338ラプアマグナムに対応させたバージョン。このモデルは新型のマズルブレーキと組み合わせたサウンドサプレッサーの使用が標準。イギリス軍は.338ラプアマグナムのモデルを「L115A1」で採用しており、2008年には最新の「L115A3」がイギリス軍に配備されている。
AWMは、L96の派生型のなかでも威力の大きいモデルです。ただし、マグナム弾仕様では装弾数が5発と少なくなります。一方、.308口径のモデルは、10発入りのマガジンを使えます。
その他のL96の派生型
他にも、AWのストックを折りたたみ式ストックに改良したAWF(フォールディング)や、AWMよりもさらに消音効果の高いサイレンサー内臓バレルを装着したAWS(サプレッスド)、そのAWSを専用スーツケース内に秘匿できるようにしたAWS Covert、AWを50口径仕様に再設計した対物狙撃銃のAW50などが開発されている。
L96の派生型は、AWFのように、使い勝手を変えたモデルが多いです。例えば、折りたたみ式ストックは、持ち運びに有利です。そのため、用途に合わせて選ばれてきました。
近年まで世界最長狙撃の記録を持っていたL115A3
イギリス軍に採用されているL96A1の派生型の後継機L115A3は、2009年に約2500mの世界最長狙撃の記録を打ち立てた。2017年にカナダのスナイパーによるMcMillan TAC-50での狙撃で記録が破られるまでの約8年間にわたり、他の大口径ライフルよりも小口径なライフル弾での記録保持は、いかにL115A3の性能が高いかを物語っている。
L115A3の記録は、小口径のライフル弾でも長距離で命中できることを示しました。また、L96の系譜が現役で活躍している証でもあります。なお、記録はその後に更新されています。
この写真からも、L96の系譜が長く使われてきたことが伝わります。特に、ストックの形状は、ほかの狙撃銃と見分けるポイントです。
L96が使われている国は、イギリスだけではありません。採用名は国ごとに変わるため、次の表で対応を確認しておきましょう。
| 国・軍 | 採用名 | 元のモデル |
|---|---|---|
| イギリス軍 | L96A1 | PM |
| イギリス軍 | L118A1 | AW |
| イギリス軍 | L115A3 | .338ラプアマグナム仕様のAWSM |
| スウェーデン軍 | PSG-90 | AW |
| オーストラリア軍 | SR-98 | AW |
| ドイツ軍 | G22 | .300Win Magnum仕様のAWM |
| ドイツ軍 | G24 | AW50 |
各国での使用状況
イギリス軍ではPMをL96A1、AWをL118A1、.338Lapua Magnum仕様のAWSMがL115A3として制式化されている。スウェーデン軍ではAWをPSG-90の名で、オーストラリア軍ではAWをSR-98の名で採用。ドイツ軍は.300Win Magnum仕様のAWMをG22の名で、AW50をG24の名で採用している。また、AICSストックがアメリカ陸軍のM24A3で採用されている。
L96の採用国は、ヨーロッパから大洋州まで広がっています。また、一部の資料では、さらに多くの国で使われていると紹介されています。そのため、世界的に信頼されている狙撃銃といえます。
その他にもヨーロッパや北欧、アジアなど様々な国で採用、使用されている。
AICSストックがM24A3に採用された点も、興味深い事実です。つまり、L96の設計は、アメリカ陸軍の狙撃銃にも影響を与えています。
アキュラシー・インターナショナル社
アキュラシー・インターナショナル (Accuracy International) は、イギリスの銃器専門メーカー。オリンピックの射撃競技で2大会連続金メダルを獲得したマルコム・クーパーにより1978年に設立された。ポーツマスに拠点を置き、精密なスナイパーライフルのアークティア・ウォーフェアシリーズを製造していることで知られている。このスナイパーライフルは、世界中の軍隊と警察で採用されている。アキュラシー・インターナショナルは2005年に破産したが、数ヵ月後に社員スタッフにより買い取られ、現在も稼働中である。
同社は、経営破綻の後も社員の手で再建されました。そのため、現在もL96の流れをくむ製品が作られています。例えば、アークティク・ウォーフェアシリーズは今も看板です。
この写真も、L96の外観をよく表しています。ここで注目したいのは、ストックとフレームの一体感です。
L96に関するよくある質問(Q&A)
Q. L96とは、どんな銃ですか?
イギリス軍が制式採用したボルトアクション式の狙撃銃、L96A1の通称です。また、東京マルイのエアガンの名前としても知られています。
Q. L96の原型は、何という銃ですか?
アキュラシー・インターナショナル社のPMライフルです。その後、寒冷地向けのAWライフルへと改良されました。
Q. L96A1とL118A1は、何が違いますか?
L96A1は本来のPMです。一方、L118A1は寒冷地対応を施したAWで、イギリスでの採用名です。
Q. L96の装弾数は、何発ですか?
記事では、脱着式のマガジンに最大10発まで装填可能とされています。ただし、マグナム仕様は5発とされる資料もあります。
Q. L96のマガジンは、どんな方式ですか?
取り外し可能な箱型マガジンです。そのため、M700などの内蔵型マガジンとは構造が異なります。
Q. L96のL115A3とは、何ですか?
.338ラプアマグナム仕様の派生型です。また、2009年に約2500mの世界最長狙撃を記録したと紹介されています。
Q. L96は、どの国で使われていますか?
イギリスのほか、スウェーデン、オーストラリア、ドイツなどです。採用名は国ごとに異なります。
Q. L96を作ったアキュラシー・インターナショナルとは?
1978年に設立された、イギリスの銃器専門メーカーです。精密なスナイパーライフルの製造で知られています。











