V2仕様 最初のモデルとなる GHK G45 Gen5 MOS が新発売!V1との違いを解説!
2024年11月に台湾で開催された MOA EXHIBITION 2024 で発表された GHK グロックシリーズの新モデル、 G45 Gen5 MOS が遂に発売となりました。
G17 Gen5 MOSからスライドがちょっと短くなっただけと思うなかれ。実際に試射してみると「ブローバックの鋭さ」「リコイルの重み」に明らかな違いが見られ、初速も底上げされ安定しています。この G45 から導入されたV2システムが、かなり優れた内部機構であることが伺えます。
実銃の GLOCK G45 については先日、別の記事でもご紹介しましたが、今回はGHKガスブロの新しいV2システムに焦点を当てて詳しく見ていきたいと思います。
GHK G45 Gen5 MOS に搭載されたV2システムの特長
GHK製グロックは、ガスブロハンドガンで主流のハンマー式とは異なるアプローチのファイア・コントロール・システムを採用しており、優れたブローバック性能を持っていることが最大の特長です。
新発売の G45 Gen5 MOS も勿論同じ方式とはなりますが、今回から内部仕様が V2 ストライカー・ファイア・コントロール・システム へとグレードアップ。また、チャンバーも全く新しいものに刷新されています。G45 はこれまでのGHKグロックからどのような進化を遂げているのでしょうか?早速見ていきましょう!
ファイア・コントロールの機能をストライカーブロックに集約
GHKグロックユーザーではない方のために簡単に説明すると、GHKグロックシリーズには従来式のガスブロでは当たり前のハンマーがありません。ハンマーが無いためブローバック時のスライド負荷が少なく、従来のガスブロハンドガンよりも燃費と動作性に優れているのです。ハンマーの代わりにトリガーで直接ストライカー(ノッカー)を押し出し放出バルブを叩きますが、この方式ではトリガーの引き方で放出バルブの開放時間が変わるので初速が安定しないのでは?と疑問が浮かびます。
そこで重要になってくるのが、GHK独自の疑似シアです。トリガーは実銃並みに重く一定以上の力を加えない限り引けない様になっており、疑似シアのポイントを越えるとそのままの勢いでトリガーが引かれます。トリガーをゆっくり引くことは出来ない機構のため、結果的に一定のスピードでバルブを叩くことになります。ここまではV1と共通の仕組みです。
V1とV2の大きな違いは、この「疑似シア」がトリガー内からストライカーの横に移設されたことです。V1では疑似シアの存在によりトリガー周りが複雑な構造となり、逆にストライカーブロック(従来で言えばハンマーブロック)はシンプルな作りでした。グロックは、フレーム、トリガーロケーター、スライドリリースレバー、トリガーの全てを1本のシャフトで固定しているため、組み立てが結構大変です。そのためトリガー周りには本来の機能以外の要素はできるだけ省いてもらいたいもの。G45では疑似シアがなくなりスッキリとしたトリガー周りになりました。
疑似シアの場所が変わっただけかい!とお思いでしょうが、いえいえ、これが中々効果絶大。これまで、ストライカーと離れていたV1の疑似シアと違い、V2ではストライカーのすぐ真横に設置されたことで遊びがほぼなくなり、シアとストライカーがよりしっかりと連携するようになったのです。
具体的には、V1後期型で見られたシアが落ちる直前の余計なストライカーの予備動作がなくなりました。トリガーを引き切る瞬間までストライカーが定位置で待機するので、意識的にトリガーを引き切らなくても中途半端に放出バルブを叩かなくなりました。
疑似シア移設だけの影響ではないと思いますが、ストライカーの飛び出し量はV1より少ないのに初速もブローバックも性能はV2の方が上。後述する放出バルブの改善やフローバルブの違いの影響もあると思いますが、ストライカー自体がメリハリのある動きをするようになっただけでここまで違うものかと驚くばかり。ストライカーブロック再設計の効果はかなり大きいと言えます。
またトリガープルの重さも、軽すぎるV1前期(G17 Gen3、TTI G34など)と重すぎるV1後期(G17 Gen5)の中間くらいにバランス調整されています。ゲームユースにもお座敷シューティングにも、満足して頂けると思います。
V2新型チャンバー
V1の時にも大幅なモデルチェンジがあったチャンバーですが、V2になると更に新型に変更されました。どことなくあのチャンバーにそっくりですが…いや、そのまんまですね(笑) 恐らく何かしら契約をもって意匠使用許可をとったものと思われます。勝手な想像ですが。また、モナカ構造のチャンバーをしっかりと固定するべく、上面にも固定金具が追加されています。
TDC Style HOP-UP Systemと銘打ったこのチャンバーは、ホップアームをリング状にすることでパッキンの突起を精密かつ平行に上下することができ、BB弾に理想的なホップ回転を与えることが出来ます。ホップ調整はチャンバー底面のマイナスネジを回すだけで微調整も可能。スライドをテイクダウンする必要はありますが、GHKグロックは G17 Gen5 以降 分解も非常にしやすいので苦になる事はありません。3代目にして完成形とも言えるチャンバーに進化しました。
チャンバーの変更ついでと言っては何ですが、インナーバレルにも改変が見られます。先端付近に溝が追加され、アウターバレル内でセンター出しを行うためにOリングが設置されています。しかしこれ、ORGA的には不要かな?と思える追加要素です。
確かにセンタリングはされるのでしょうが、グロックはティルトバレル式のショートリコイルを再現しているためアウターバレルとインナーバレルが激しく擦れます。このOリングがあることでティルトの動きが阻害され、場合によってはブローバック時にアウターバレルとスライドが詰まって止まってしまいます。
そのため、当店で発送する GHK G45 Gen5 MOS についてはOリングを外し、パッケージ内に同梱してお届けしています。グリスアップ等で改善する場合もありますので、必要に応じて再設置などご活用ください。
最大の改善ポイントは放出バルブ?
見た目からして明らかに変わったと分かる放出バルブ。V2でブローバックのキレがより増した理由の半分は、このバルブにも秘密がありそうです。というのも、V2マガジンをV1本体で使うだけでもかなりブローバックが力強くなるからです。マガジンや本体を相互に入れ替えながら試射してみて、ブローバックの強さは以下の様な所感でした。
V2本体+V2マガジン > V2本体+V1マガジン(非推奨)= V1本体+V2マガジン > V1本体+V1マガジン
しかし、V2の放出バルブを分解してみると、外観の違いとは裏腹に基本構造はV1と大差ありません。スプリングも同じ強度。なんでこんなに違うんや…。
よ~く見比べて気が付いたのは、ガスルートを閉鎖する部分のOリングの違いです。極僅かに径が小さいOリングになっているため、真鍮パーツ同士の隙間が狭いことが分かります。結果的にバルブの飛び出しがコンマ数ミリ大きくなっています。
また、GHKグロックシリーズの放出バルブはガスルートがマルイ等とは逆で、マガジンの内圧ではなくバルブスプリングの力で閉鎖します。そのため気密を保ちつつスムーズな開閉ができることが非常に重要な訳ですが、V2のプランジャーは戻りがとても速い。恐らくガスの外部漏れを防ぐ部分のOリングも見直されているのでしょう。V1のバルブがもっさり感じてしまうくらい、ピシャッと閉鎖します。僅かな違いとは言え、ガスルートの解放と閉鎖がそれぞれ速くなったことがブローバックの鋭さにも繋がっているのだと予測できます。
V1との違いを見た目でも示しているV2放出バルブのピン(プランジャー)デザインですが、これは動作を良くするためのものではありません。バルブレンチを使いやすくするための措置です。V1ではバルブピンが大きいため、バルブの脱着時にレンチでぎゅうぎゅう押し込みながら回す必要がありましたが、V2は段差があるおかげでピンがバルブレンチの穴にスポッと入り、バルブピンをそこまで押し込まずとも回しやすくなり、バルブスプリングも痛めません。
先述の通り、GHKグロックシリーズの放出バルブはガスルートが逆なので、汚れが溜まってきたりグリスが乾いてくるとガス漏れが起きやすくなります。定期的なクリーニングとグリスアップのため脱着の機会も多く、こういった工夫は地味ながらも有難い改善ポイントですね。非常にユーザーフレンドリーです。
フローバルブも形状変更あり
ノズルのガスルートから見えるフローバルブも、形状や位置に変更が見られます。V1の円錐形状から角度が抑えられた形になり、バルブ位置も若干前進。かえって初速が下がりそうなイメージですが、V2の方が初速は僅かにアップしています。
その理由は、フローバルブの初期位置こそ異なりますがそれぞれ閉鎖位置までの稼働量がほぼ同じだからでしょう。ノズル側へのガス流量をキープしつつ、フローバルブが前方にあることでブローバックに影響するガス容量はよりアップすることになります。
ちなみに、GHKホームページに掲載されているV2アップグレードキット(Gen5対応の内部パーツキット、2025年6月現在はまだ未発売)には含まれないパーツのため、初速や動作性に大きく影響する変更であるかは正直わかりません。少なくとも改悪ではないことは確実ですが、どこまでの違いがあるのか…気になりますね。
V2システム以外の G45 Gen5 MOS 改善点
V2システムの内部パーツについて解説してきましたが、それ以外にも特筆すべきポイントがありましたのでご紹介しておきましょう。
アンビマガジンキャッチがちゃんと使える様になった!
発射や動作の性能に直接関係ないながらも嬉しい改善ポイントがマガジンキャッチです。GLOCK Gen4 以降のフレームで採用されたアンビマガジンキャッチですが、GHK G17 Gen5 ではスプリングバーが右利き用に傾いており、左右入れ替えて使用するには加工が必要でした。これは左利きのプレイヤーさんにとって実に不愉快な仕様でしたが、G45 ではちゃんと無加工で左右入れ替えが可能になりました。
最初からこうしといてくれよ~と言いたいのはやまやまですが、マイノリティな意見にも耳を傾けてくれたということで良しとしましょうか。まぁ、折角のアンビデザインを台無しにしていた G17 Gen5 の設計が意味不明だったのですが…。
ランヤード・クリップが標準搭載
実銃では G19X 以外は別売りアクセサリーとなるランヤード・クリップが、 GHK G45 では標準搭載されています。実物同様、脱着可能なプラスチック製で、ポリス系装備でも民間スタイルでも合わせやすいのが嬉しいですね!これは将来的な G19X リリースへの布石か?!とも期待できますが、 G45 が世界中の警官で採用されていることが一番の理由でしょう。
GLOCK G45 は日本の警察でも一部採用されており、東京オリンピックや大阪万博で警備にあたる警察官が携帯していることが確認されています。日本に限らず、多くの国の制服警官はピストルランヤードを使用しますので、プロ仕様を再現するなら必須の装備と言えるわけです。これは実にナイスな判断。
GHK G45 Gen5 MOS の総評
GHKグロックシリーズについてはこれまでも取り上げてきたので、V1との違いや G45 独自の相違点を中心にご紹介してきましたが、如何でしたでしょうか。
GHKグロックが初めて登場したとき、ハンマーレスという大胆な構造には随分と度肝を抜かれましたが、V2については更に磨きがかかり驚きのブローバックを魅せてくれます。チャンバーも安定したホップ回転を実現していますので、カスタムショップが言うのもどうかと思いますがカスタムするべき所が見当たりません。
筆者自身は G17 Gen5 MOS を使用しておりその性能には満足していましたが、G45 MOS のブローバックを体感したら、正直なところ鞍替えしようかと心揺れています(笑) V2アップグレードキットは是非早めにリリースしてもらいたいですね。V2マガジンだけ導入して、別途 G45 MOS を所有しても良いかも知れません。う~ん悩む…。
GHKグロックは構造上、トリガーが引ける状態=コッキング状態となってしまうので、セーフティーのためにコッキングインジケーター(マガジンを抜いた状態でトリガーを引きロックを掛ける)の活用が必須とはなりますが、安全管理上(ハンマー式であっても)習慣としていただきたい動作ですし、それさえ守っていれば他社製グロックとの操作性の違いはありません。
GHK独自のガスブロハンドガンが誕生してから早5年。ブラッシュアップを重ねてきた本シリーズは G45 をもって完成形に到達したと言っても過言ではありません。この進化を、是非手に取って体感して頂きたいですね!