M1911について

M1911について
M1911について
 

M1911について

M1911とは、コルト・ファイヤーアームズ社製のシングルアクションの自動拳銃である。ジョン・ブローニングの設計により開発され、1911年にアメリカ軍に制式採用された。採用から1985年までの長きにわたり、アメリカ軍の制式拳銃として第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、そして、ベトナム戦争で用いられた。日本では通称「コルト・ガバメント」と呼ばれることが多いが、これは民間向けモデルの1つ「ガバメント・モデル」に由来する。日本以外では単に1911と呼ぶのが一般的である。兵士の間では、そのストッピングパワーの強さから「ハンド・キャノン」の愛称で呼ばれたこともある。
旧式の拳銃のため重く、パーツの耐久性に難があるが、フレームの軽量化等によりそれらを改良したモデルも各社から販売されている。
 
M1911
 
M1911は、アメリカ人にとって馴染み深い拳銃であり、アメリカ市場を想定した拳銃の開発において「M1911に近い操作系統やグリップアングルにする」といった点を重要視する銃器メーカーは多い。アサルトライフルや狙撃銃のピストルグリップをM1911の形状に変更する交換用グリップが売られており、物によってはフレームと一体となったグリップがM1911と同形状となった狙撃銃まで作られている。それらはM1911用のグリップパネルが装着できるものが殆どである。
 

名銃の魅力

M1911は、第一次世界大戦では供給が間に合わず全軍配備には至らなかったが、威力の高さといかなる状況でも作動する信頼性から、その評判は上々であった。第一次大戦での実戦データから、1927年からは改良型のM1911A1に生産が移行した。前線で戦っている兵士が使用した際、親指と人差し指の付け根の部分がハンマーとグリップセーフティの間に挟まり怪我をしたため、改良を進言したことによるという。
 
第二次世界大戦中は、コルト社、スプリングフィールド造兵廠以外に、レミントンランド(銃器メーカーではなく印刷機器などを製造する会社)など、様々な機械系メーカーで臨時生産されていた。M1911A1の製造数で言えばコルト製よりもレミントンランド製の方が多いという事実がある。アメリカ軍は戦後は新規製造は行わず、全て部品の入れ替えなどによって旧品をメンテナンスし維持し続けたが、1985年にベレッタM92が新たに制式採用となるまでアメリカ軍の制式採用銃であり続けた。
 
日本の自衛隊や警察にも、戦後アメリカ軍から他の拳銃と併せて軍の余剰分が供与された。
自衛隊では1982年にSIG SAUER P220が制式採用されるまでの長い間使用された。
警察では当時、国家地方警察および自治体警察に分かれ、M1911はすべて自治体警察に配分されていたが、1954年の警察法改正によって現在の警察制度となって以降は各都道府県警察に移管された。45口径の拳銃は重く反動も大きいことから嫌われ、特に自動式拳銃であるM1911は取り扱いの難しさや老朽化から暴発などの事故が多かったため、早期に退役が進み38口径の回転式拳銃に置き換えが進められた。
 

現在のM1911

現在、アメリカでは制式装備がM9に更新された後も警察用・民生用として需要を持ち、特にシューティング競技で人気がある。コルト社の特許は1986年に失効しており、他社による再設計モデルやコピーモデルも多数出回っている。45口径拳銃の代表格とされる銃であり、対人制圧能力の高さに定評がある。即応性を重視したコックアンドロック、扱いやすいデザイン、シンプルな構造による高い耐久性など、設計面でも評価が高い。
欠点は、大口径であるため射撃時の反動が強く、手に負担をかける点と、7発という少ない装弾数である。この問題は、警察機関や個人の護身用銃として利用する分にはさしたる問題とみなされていないが、軍ではこの問題からM9に更新される事となった。攻撃力の低下を嫌う一部の部隊では今でも使われている。標準的な口径は.45ACPだが、新旧各種口径に対応するバリエーションも多数製造されている。
 
1911
 
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