HK416のドイツ連邦軍仕様G95が配備開始

HK416のドイツ連邦軍仕様G95が配備開始
HK416のドイツ連邦軍仕様G95が配備開始
 

G36は段階的に更新、退役へ:ドイツ連邦軍でG95(HK416)の配備が始まる

2025年12月4日、とある歴史的な軍用ライフルに幕が下ろされました。日本のサバゲーマーにとっても馴染み深いドイツの名銃「G36」です。その代わりとして脚光を浴びることになったのが、ご存じ「HK416」。ドイツ連邦軍ではHK416をG95の型式名で制式採用し、これから標準装備のアサルトライフルとして段階的にG36と入れ替えていくことになります。

G95KA1

出典:BUNDESWEHRより

ドイツ連邦軍にとって、実に約30年振りとなる標準ライフルの交替は意義深く、最初のG95が納入された第12装甲旅団では、中将クラスの将校とH&K(ヘッケラー&コッホ)社の取締役が列席する引き渡しの式典が催されました。

第12装甲旅団に配備されたG95KA1を持つ兵士と式典に参加した将校

G95(HK416A8)の引き渡し式典

出典:BUNDESWEHRより

配備されるのはG95A1とG95KA1の2モデル

G95はHK416A8をベースとしたライフルで、バレル及びハンドガードのレングス違いで2モデルが用意されます。長い方がG95A116.5インチバレル、ショートモデルのG95KA114インチになります。

型名から考えれば普通G95A1が標準モデルとなりそうですが、ドイツ連邦軍の公式サイトによれば実際に配備されるのはショートのG95KA1がメインになるとのこと。今回納入された300挺も全てG95KA1で、こちらが連邦軍の標準モデルとなります。

ドイツ連邦軍ではショートサイズのG95KA1が標準モデルに

出典:BUNDESWEHRより

ところで、G95という型名は随分前から使われていました。制式採用と聞いて、ヨーロッパ系のミリタリー情報に詳しい方からすれば何を今更?と思うかもしれませんが、これまでのG95はKSK(陸軍特殊作戦団)KSM(海軍特殊作戦コマンド)向けに配備されたHK416A5の改良型で、今回制式採用されたHK416A8型の前身となるHK416A7型のライフルです。正確にはG95Kという名称で、特殊部隊向けのショートモデルが2019年から採用されていました。

HK416A7ではハンドガードにKeymodを導入し、セレクターは45度切替式に変更。このHK416A7のハンドガードをM-LOKに変更しロックレバー固定式へと進化させたのが、制式採用となったG95A1とG95KA1になります。G95(HK416A7)は長らく、特殊部隊がテスト運用に近い形で使用していた様です。(但し、途中からM-LOKのハンドガードも使われていた)

HK416A7ベースのG95

出典:BUNDESWEHRより

G95A1とG95KA1の仕様

G95A1とG95KA1の違いはバレルレングスのみで、ハンドガードやその他の仕様はほぼ共通となります。カラーもダークアース1色のみで、シンプルにバレルレングス違いの2バージョンのみが納入されます。

基本的にHK416は、A5での全面改修以降はマイナーチェンジに近い変更のみで、分かりやすい違いは前述のセレクター45度化など。どちらかと言えば、M-LOKの薄型ハンドガード「HK Slimline」の採用が目を惹きます。

HK Slimlineハンドガード ミリタリー仕様

出典:BUNDESWEHRより

HK SlimlineはこれまでのHK416系ハンドガード同様、レシーバートップレールの高さに合わせ上下に幅広い設計となりますが、左右幅はかなり抑えられており非常にスリム。サポートハンドで握りやすい設計となっています。

全面的なM-LOKスロット配置によりアクセサリー拡張性が担保されている他、ライトニングホールの追加で非常に軽量なのも特長です。

G95A1及びG95KA1から見られる更なる改良点として、バレルナットへの固定がロックレバー式になったことも大きなポイントです。ドイツ連邦軍の要求によるモジュール性能追加は世界的にもトレンドなっている項目で、セットアップをハンドガードごと交換できるメリットがあります。

またミリタリー専用設計として、アンダーレールがM-LOKからピカティニーレールに置き換わっています。

搭載する光学機器やアクセサリーも部隊ごとに標準仕様が固まってきている様ですが、今回納入された第12装甲旅団では下記が明言または写真で公開されています。

照準器:ELCAN Specter DR 1-4x

ええっ?!今更エルカン?!とお思いでしょうが、焦りは禁物。モデル名は一緒ですが新型となります。旧型と比較して大きさはそんなに変わっていませんが、凹凸の少ないスリムなデザインとなっています。1倍と4倍の切り替え機能も従来通り有しています。

Spector DRの直上にはZEISS(カール・ツァイス)のZ-pointドットサイトも搭載するほか、バックアップ用に45度のアイアンサイト(詳細不明)も用意されています。

G95KA1に搭載される照準器

出典:BUNDESWEHRより

デバイス:Rheinmetall LLM-VarioRay

LLM(レーザーライトモジュール)として、レーザーデバイスとウェポンライトがくっついた様なデザインのRheinmetall LLM-VarioRayが標準搭載となります。

ここまでハウジングを分けるなら、いっそライトとデバイスを別々にしても良いような…と思ってしまいますが、赤外線への切り替えなど統合的に操作される必要を考えると一体型の方が理想的です。

ラインメタル製LLM

出典:RHEINMETALLより

VarioRay ドイツ連邦軍標準レーザーデバイス

出典:ASD Newsより

その他

照準やレーザーデバイス以外のアクセサリーでは、アンダーレールに取り付けるMAGPULハンドストップ、バイポッドのほか、暗視装置、サーモグラフィーの追加光学機器も含まれます。また、40mmグレネードランチャーの装着オプションも存在。

一般兵向けにも展開される標準ライフルとしては非常に豪華なアクセサリーが用意されています。

G36や新型ライフルを巡るドイツ国防省とHKの争いに終止符

G95制式採用までの道のりは決して平坦なものではなかった様子。主力小銃切り替えの発端となったG36の性能不足は、ドイツ連邦軍がアフガニスタンに派遣された2010年代から指摘され始め、プラスチックパーツが熱に弱く命中精度を下げているとの見解を軍は示していました。

しかし、製造元のH&Kはこれに強く反発。ドイツ国防省を相手に訴訟を開始します。数ヶ月で早々に勝訴となりますが、この判決を不服とした国防省は控訴を示唆。この争いをきっかけに、ドイツ連邦軍のライフル更新が停滞したと言っても過言ではありません。

G36で訓練を行うKSK隊員

出典:BUNDESWEHRより

法定闘争まで発展してしまったのだから当然と言えば当然ですが、その後始まったG36の後継機種の選定でH&Kは一度敗れることになります。しかしここで食い下がらないのがH&K。今度は選定で選ばれたMK556を製造するCG HAENEL社を相手に特許侵害で訴訟を起こします。

この訴訟で上がった特許侵害疑惑を理由に国防省はCG HAENELとの契約をキャンセル。最終的には特許侵害に関する訴訟もH&Kの勝利に終わり、長らく続いた新型ライフル選定にはHK416A8(G95)が採用されることになりました。

制式ライフルは叶わなかったCG HAENEK MK556

出典:CG HAENELホームページより

泥沼の争いを続けながらも、その相手である国防省への入札はキッチリ参加するとは、H&Kは恐ろしく図太い会社です(笑) 軍や国防省との間に軋轢は無いのか心配ではありますが、引き続き制式ライフルの座を勝ち取ったH&KはG95納入式典にも参加。G95A1とG95KA1はドイツ連邦軍の協力のもと開発が進められたとも声明を出しています。

また、新型ライフルの調達においては11万8718挺の契約であったものの、配備開始の前日には連邦議会において25万挺まで引き上げる予算が割り当てられました。

こんな結果が待っているならハナから争わなければ良かったのに~と誰しもが思うでしょうが、それは当事者が誰よりも痛感していることでしょう。斯くして、ドイツ最大の銃器メーカーとドイツ連邦軍の喧嘩は幕引きとなったのでした。

HK416もようやくM-LOKが標準化

さて、ドイツ連邦軍でもようやく現代的な装備が標準化する流れとなった訳ですが、そもそもHK416自体にとっても、デフォルトでM-LOKを搭載するという点が新鮮に感じるのではないでしょうか。

アメリカ法人のHK USAではM-LOKを民間モデルで早くから取り入れてはいたものの、クアッドレールをM-LOKに差し替えただけの様なデザインでイマドキ感は薄め(但し現行MR556はSlimlineを採用)。M4の改修型という名目で誕生しながら、軍用や法施行機関が主戦場であるせいかクアッドレールからは中々脱却できず、近年では他メーカーのAR-15に再度追い抜かれた感すらありました。

HK416A5

そのため、HK416が軍用モデルでようやくM-LOKを標準化したことには大きな意義を感じずにはいられません。あと、シンプルにカッコ良い(笑)

G95A1とG95KA1の制式採用を機に、サバゲー業界でも再びHK416の人気が高まることも予想されます。

G95KA1 BUNDESWEHR広報画像

出典:BUNDESWEHRより

そんな現代的進化を遂げたHK416を、GHKが早くもガスブロにて再現しています!

HK416A8ベースではないものの、全面改修後のA5をベースにHK USA民間仕様のMR556 A4 SBRを取り入れ、更にはG95のロックレバー方式も取り入れたCQBRは正に理想的な現代のHK416の姿!

組み合わせとしてはオリジナルなものの、1つ1つの単位では実在するパーツなだけに、軍や法執行機関の特殊部隊用としてあってもおかしくない仕様です。

GHK HK416A5

そしてこのGHK HK416も2025 MOA EXPOのレポートでお伝えした通り、2026年にはG95と同じFDE仕様が登場します。

個人的にはG95KA1モデルも作って欲しいなぁ~と思いますが、HK416に再び人気が集まれば実現しない話でもないでしょう!

GHK HK416A5 FDE ガスブロ

注目のGHK HK416ガスブロについては2025年12月現在、4UADカスタムチャンバーやRATECH NPASノズル等を組み込んだORGAカスタムを限定販売中!

理想的進化を遂げたHK416を、是非ガスブロでご堪能頂ければと思います!

 
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