B&T AG：公的機関採用で徐々に存在感を増すスイスの銃器メーカー

B&T AG
法執行機関や米陸軍で採用が進むスイスの銃器メーカー

B&T AGとはスイスを拠点とする銃器及び銃器アクセサリーメーカー。製造部門のみならず貿易部門も持ち、スイスの軍事・法執行機関へ納入する銃器類の仕入れ・供給を行う商社・代理店としての顔も持ち合わせた総合的な軍需・防衛企業である。

1991年にBrügger & Thomet AG（ブリュッガー＆トーメAG）という名称でスタートした同社は、設立当初はサプレッサーやハンドガード、光学マウントなどの製造がメインであったが、現在では銃器本体や多くの主要銃器メーカーへ部品を製造・供給するサプライヤーでもある。

B＆Tにとって大きな転機となったのがMP9サブマシンガンの存在である。

MP9とは？

MP9のベースモデルであるTMP（Tactical Machine Pistol）は、オーストリアのステアーが法執行機関や特殊部隊向けに1994年に開発した優秀な性能を持つサブマシンガンであったが、既にH&K MP5によってほぼ独占状態であった同クラスの市場には太刀打ちできず2001年に生産終了を迎え、その権利を B&T に売却した。

B&T では基本的にはTMPの設計を継承しつつも、トリガーセーフティーとマウントレールの採用やストックを折り畳み式へと変更。その他耐久性を向上するための改良を加えるなどしてMP9及び民間モデルのTP9を開発、2004年から製造販売を開始した。

TMPは一部の国でしか採用されなかったが、MP9はスイス陸軍を始めヨーロッパやアジアなどで広く採用されセールス的に大きな成功を収め、B＆T躍進のきっかけを作ることとなった。

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B&T APCとは？

MP9での成功により世界規模での9mmサブマシンガンの需要の大きさに目を付けたB＆Tは、自社でゼロから設計した新型サブマシンガンの開発に着手。2011年に法執行機関向けとしてAPC（Advanced Police Carbine）を発表した。

APCはアルミ製のアッパーとポリマー製のロアを組み合わせ、アンビ仕様の各種操作系やMP5用パーツとして成功しているスケルトンストックを装着するなど現代的な装いのサブマシンガンである。各主要メーカーのパーツ製造や500挺を超える銃を所有・研究する B&T にとって、APCは新たなフラッグシップモデルとして満を持して登場したのだった。

MP9をH&K MP5の対抗馬となりうる製品へと昇華できた自信からか、APCは同じくH＆KのUMPシリーズを強く意識したモデルとなっているほか、マルチキャリバーやストックパーツの多様性など近年のライフルでは定番のモジュラー性能も持たせており、今後の展開にも注目したいモデルである。

APCは現在、初期から生産している9mmモデルや45口径モデルに加え、5.56×45mmNATO弾モデルや.300BLK弾、.308弾を使用するライフルサイズモデルまで登場しており、いまや B&T の顔となる存在だ。

2019年に登場した9mmモデルAPC9 PROは、M4系のグリップや様々なタイプのストックを使用可能とし、さらにはグロックやSIG P320のマガジンにそれぞれ対応したロアフレームにも交換可能な高い汎用性を持つ。これらの特徴がアメリカ陸軍でのSCW（サブコンパクトウェポン）採用へと繋がり、短銃身のAPC9-Kが要人警護用のPDWとして合計1350挺以上が納入されることが予定されている。

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各国公的機関での採用など活躍の場が徐々に増えつつある B&T AGは、エアソフト業界でも注目の銃器メーカーでKWA MP9ガスブロは既にかなりの人気を誇るリアルエアガンだ。さらにはARROW DYNAMICの別ブランドであるARROW ARMSからもAPC9-Kが電動ガンとして登場したが、今後もAPCシリーズがエアガンとして様々なモデル展開を見せることは想像に難くない。

B&T は実銃メーカーとしての飛躍にもエアガンとしての製品展開にも、今後要注目のブランドだ。

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