スミス&ウェッソンについて

スミス&ウェッソンについて
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スミス&ウェッソンについて

スミス&ウェッソン(Smith & Wesson)通称S&Wとは1852年にホーレス・スミスとダニエル・ウェッソンが設立したアメリカ合衆国最大規模の銃器メーカーで、マサチューセッツ州スプリングフィールドに本社をもつ。創業当初は回転式拳銃を中心に生産や販売を行い、1950年代に入ってからは自動拳銃の販売も本格的に始めた。現在はナイフや手錠も生産している。

スミス&ウェッソンの歴史

1852年、ホーレス・スミスとダニエル・ベアード・ウェッソンのふたりはボルカニックピストルの愛称が付けられたレバーアクションライフルを製造するための会社を設立した。同社はボルカニック・リピーティングアームズとして知られるようにはなったが、財政難だったため大部分の所有権がオリバー・ウィンチェスターに譲渡された。

1856年、2人は新しいリボルバーと弾薬を製造する会社を立ち上げるためにボルカニック・リピーティングアームズから独立。この新しい会社の設立はタイミングが良く、後のアメリカ南北戦争によって大量の需要が発生したのである。

同年、2人は元コルト社従業員ロリン・ホワイトから貫通型シリンダーを使用したリボルバーの特許の工業権を得ていた。5年後マサチューセッツ州スプリングフィールドで記念すべき第1号モデル「No.1」の製造を開始した。徐々に販売数を伸ばしていった。この背景には貫通シリンダーと金属カートリッジを使った新しいリボルバーが南北戦争にちょうど間に合ったこともある。ちなみにNo.1、No.2は共に坂本龍馬が所有、愛用していた。

1873年、スミスが全経営権をウエッソンに譲って引退し、ウエッソンは3人の息子とともに“ウエッソン体制”を作り上げる。既に社員として働いていた3人は、それぞれ経営全般、工場の現場、新製品開発の要所を押えていた。事後、フランクの急逝もあったが父と息子2人の3人で共同経営を行っていくことになった。

1906年、ダニエルが死去すると強力な指導者を失った会社は派閥争いなどの内紛を生じ始める。社長に就任したウォルターと、ジョセフとの間の派閥争いの妥協案として交互に社長職に就いた時期もあったという。しかしウォルターが病に倒れると、ジョセフが次の社長として正式に就任した。ジョセフは元々技術畑出身の人間であり、今あるリボルバーのリバウンドスライドや、1917リボルバーなどのハーフムーンクリップは彼の発明によるものである。その後第一次世界大戦終結に伴って軍用銃の放出、安価な輸入品の流入、そして戦争の反動による銃への反対運動などが会社を窮地に追い込んだ。

ジョセフの死によって社長に就任したハロルド(甥でフランクの遺児)は様々な方策を立てて会社の建て直しに苦心した。ここでS&Wの中興の祖となるカール・R・ヘルストロムが登場する。経営不振打開のための経営コンサルタントとして招致された彼は高給と工場の自由裁量権をハロルドに認めさせると事態の打開に乗り出した。その後第2次世界大戦中、彼は工場における生産を監督し続け、新工場を建設するまでに業績を回復させた。1946年にハロルドが他界、S&W一族と役員会の決定により当時副社長だった彼が新社長に選出された。

2016年11月7日、アメリカン・アウトドア・ブランズ(American Outdoor Brands)に社名変更することが発表された。ブランド名は維持される方針。

 

スミス&ウェッソンの主な製品

・M39

1954年に発売された同社初(アメリカ初)のダブルアクション式自動拳銃。その後の同社の自動拳銃シリーズの基本となる。 ショートリコイル方式を採用した、現在西側で主流となっている9x19mmパラベラム弾を使用するダブルアクション拳銃。

・モデル3

モデル3は、ブレイクオープン操作で一度に6発全ての排莢が可能な上、以前のチップアップ式と比べ、グリップハンドを反すことなく装填が行えた。登場から2年後の1872年には、当時の帝政ロシアからの大量発注を得ている。この時、数度の設計変更を経て作られたのが.44ロシアン弾仕様の「ロシアンモデル」。ロシアンモデルは、ロシア経由で日本に渡り、明治期の日本海軍に「一番形拳銃」として採用されていた。

・M500

M500は2003年に開発した超大型回転式拳銃。一般市場に流通する商品の中では驚異的な威力で世界最強の拳銃で、銃身長は4インチと8.375インチ、そして「ハンターモデル」と呼ばれる10.5インチのものがあり、使用する弾は.500S&Wマグナムという.50口径のマグナム弾である。この弾は.44マグナム弾の約3倍の威力を誇るといわれ、フレームには特大フレームであるXフレームを使用し、シリンダーの肉厚を確保できる装弾数5発になっている。

・M10

M10は、通称「ミリタリー&ポリス」、回転式拳銃である。

フレームはKフレームを使用している。他にステンレスモデルの「M64」も存在している。

終戦以降はM10を含む回転式拳銃が軍用拳銃として使われることは少なくなってしまった。警察用拳銃としてはその後も使われ続けたが、近年はやはり旧式化しつつあることは否めず、アメリカの警察などでは制式拳銃の座を新型の自動拳銃に譲り渡している。

それでも作動の確実性や扱いやすさから使用する者もおり、アメリカではスポーツ射撃用に現在も使われている。また、日本の警察の制式拳銃として採用されたこともあり、現在も一部の制服警官に配備されている。 日本以外でも、韓国、台湾、香港などの東アジア各地の警察で使用されている。